累計1億円集める「たった1人のメーカー」から学ぶ、ファンを仕事仲間にする方法テストマーケティングから見るプロダクトの近未来(1/3 ページ)

» 2024年08月29日 08時00分 公開

「テストマーケティングから見るプロダクトの近未来

企業の新商品・サービスの挑戦を支援するプラットフォーム、Makuake。ここでは日夜、新たなコンセプトを持った商品が企画され、ユーザーの厳しい目にさらされている。多くの支持を集めた商品にはどのような特徴があるのか。本連載では既に終了したプロジェクトを振り返り、成功の要因からプロダクト開発の近未来を探る。

 起業家に限らず、ビジネスの現場では1人で切りひらかなくてはならない局面が訪れるものです。新部署の設立、拠点の立ち上げ、自分1人がアサインされたプロジェクトなど――。そんな時、相談をする相手がいないとしたら非常に不安ではないでしょうか? 今回は、そういった立場にいる方の気付きになるかもしれないエピソードを紹介します。

 バタフライボード(横浜市)という、会社名にもなったヒット商品を開発・販売している企業があります。代表の福島英彦氏は、2017年の会社設立以来1人で会社を運営していながら、Makuakeでの応援購入額は累計1億円を超えています。なぜ「ひとりメーカー」であっても、ここまで順調に会社を運営してこられたのでしょうか。

バタフライボード代表 福島英彦氏(出所:公式Webサイト)

「会議の悩み」を解決したい…… 会社員時代の気付きが生んだヒット商品

 同社の主力商品「バタフライボード」は、思い付いたアイデアをすぐに書ける、持ち運びできるノート型ホワイトボードといった商品です。また1人で使う時はノートのように、人が集まる時は、テーブルや壁にボードを増やして使うといった具合に、用途に応じて形を変えて使えます。

「バタフライボード」使用イメージ(出所:Makuake公式Webサイト、以下同)

 誕生のきっかけは、福島氏の会社員時代の悩みにありました。例えばマーケティング部門と開発部門との会議など、部署を横断した会議は“共通言語”がないために、コミュニケーションがスムーズに取れないことに福島氏は課題を感じていました。そんな中、ホワイトボードを使って説明したところ、議論が活性化して会議が前進したといいます。

 福島氏はこの経験から、ホワイトボードはコミュニケーションを促進させるツールだと気付きました。同時に、ホワイトボードは持ち運びできず、気軽に使える道具ではないとも考えました。「ならば自分で作ってしまおう」と思い立ち、商品開発に着手することになります。

 福島氏は会社員として働きながら週末や仕事終わりの時間で同商品の開発を進めました。こうして2015年に商品化した最初のバタフライボードは、Makuakeで約280万円の応援購入額を集めました。手応えを感じた福島氏はその後も商品開発を続け、後継モデルの「バタフライボード2」は約3000人から約1500万円の金額が集まりました。その後福島氏は2017年に独立し、新たな商品開発を継続。応援購入額はMakuakeだけでも累計1億円を超えるまでになりました。

バタフライボード2
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.