「コメ不足」でバカ売れの「パックご飯」が、日本の救世主になりそうな理由スピン経済の歩き方(5/7 ページ)

» 2024年09月04日 05時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

なぜ米の輸出量が増えないのか

 もちろん、農林水産省も「輸出を増やすのが喫緊の課題」として力を入れているのだが、なんともパッとしない。この原因は輸送コストが高いなど、さまざまなことが言われているが、根本的なところでは「個人経営の農家が多い」ことが挙げられる。

 同省によれば、全国の農業経営体数は約92万9400だが、団体経営体は4万700しかない。圧倒的に個人経営が多い世界だ。「輸入」はもともと煩雑な関税手続きや、海外企業と価格の交渉が必要なので、個人零細企業にはハードルが高い。しかも「農作物」の輸入は、現地の規制当局の審査などもあって、あれやこれやと面倒なのだ。

米輸出における課題(出典:農林水産省)

 つまり、日本の米の輸出量が圧倒的に少ないのは、小さな農家があふれているという「規模」がネックとなっており、農業が「家業」のままで、ほとんどビジネス化されていない構造的な問題が大きいのだ。

 ここを変えていくには正直、まだウン十年もかかる。その間に世界的な食料危機が起きれば、あっという間に日本人は飢えてしまうだろう。

 そこで米の輸出をドカンと増やす「裏技」として業界のみならず、農家にも注目を集めているのが、パックご飯だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.