ご存じのように、日本の食料自給率は38%と先進国の中でダントツに低い。米国や東南アジアはもちろん、隣の中国などに多くを依存している。そのため「有事」が起きてシーレーン(有事に際して確保すべき海上交通路のこと)が分断されてしまうような事態が起きた際には、食料の輸入がストップして、多くの日本人が飢えることが予想されている。
これが「悲観シナリオ」でも何でもないことは、農林水産省の「食料の安定供給と不測時の食料安全保障について」という資料を見れば分かる。同資料では日本が深刻な食糧不足に陥ったときに、国民生活安定緊急措置法という法律に基づいて国民の理解の下に規制を強めていくというシナリオがまとめられている。
その中には「1人1日当たり供給熱量が2000kcalを下回ると予測される場合を目安」というレベル2の食糧危機に陥ったら、こうすべきという指針がはっきりと記されている。
「供給熱量確保のため、小麦、大豆等を増産しつつ、地域の農業生産の実態も踏まえ、熱量効率の高いいも類への生産転換を実施」
つまり、食料自給率が38%しかないこの国で何らかの「有事」が起きた際には、昔やったようにサツモイモをかじって頑張ろうというわけだ。ちなみに、太平洋戦争が始まる前の1939年の食料自給率は86%もあった。にもかかわらず、あれだけの人が飢えて死んだ。38%ではどんな阿鼻叫喚の地獄が訪れるのかは想像できよう。
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