今から16年後の2040年、私たちが暮らす日本社会はどのようになっているでしょうか。
――これらの未来予測を行ったのはリクルートワークス研究所。日本社会が今後直面する社会問題にリアリティを持ってもらいたいと「生活を維持するために必要な労働力を供給できない状態」である「労働供給制約」を算出したところ、上記のような未来が見えてきました(リクルートワークス研究所「未来予測2040」)。
報告書が公表されたのは2023年4月です。かなり衝撃的な内容でしたから、大手メディアはこぞって取り上げ「受け入れる病院がないって、コロナ禍の悪夢再来?」「ドライバー不足は深刻だなぁ」「っていうか、道路使えないってどうよ?」とそれはもう大騒ぎでした。
ところが今はどうでしょう。ニュースになった日には大騒ぎしたのに、何事もなかったかのように社会は「人手不足」のまま動き続けている。むろん、対策を練って人手不足を最小限にした企業もあります。しかし、いまだに「人手不足」という4文字が連日新聞やSNSに踊っています。
そもそも今の日本社会の慢性的な人手不足の原因が、超高齢社会と少子化による生産年齢人口の減少にある以上、“全員野球”で乗り越えるしかありません。それなのに、早期退職や希望退職と銘打って、まるで「在庫一掃セール」のように経験豊かなシニア人材を排除する企業が後を絶ちません。働く女性は増え続けているのに「意思決定のポジション」に就く女性は一向に増えず、男性との賃金格差も解消されず、外国人の働き手の待遇もなかなか良くなりません。
働く人の半数以上が50歳を超え、この12年間で60歳以上の従業員は2倍に増え、特に65歳以上は3.2倍と爆増したのに(厚生労働省、令和3年「高年齢者雇用状況等報告」)、企業が求める働き手のスタンダードは「元気でバリバリ働ける人」のまま動き続けている。こんな状況で人手不足が解消されるわけないのです。
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