パスファインダーズ社長。30年にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、新規事業・新市場進出を中心とした戦略策定と、「空回りしない」業務改革を支援。日本ユニシス、アーサー・D・リトル等出身。一橋大学経済学部、テキサス大学オースティン校経営大学院卒。
OpenAIによる生成AI(人工知能)であるChatGPTの登場以来、ビジネスパーソンにとって「AIという異物」が格段に身近に感じられるようになったようだ。ある調査によると、生成AIを業務に使っているという人が国内でもこの一年ほどで倍増し、4割を超えるようになっているようだ。
コンサルティングの現場でもAIに関する検討のハードルが一段も二段も下がった感がある。われわれが事業戦略の手段として「ここにこういう形でAIを組み込むことでユーザー満足につながる能力が数倍上がりますよ」などと提案したものが真面目に受け取られるようになっている(裏返せば、少し前までは必ずしもそうではなかったということ)。
最近では、「AIの能力ってどこまで進化するのでしょうね」とか、「AIシンギュラリティの到来はいつと思いますか?」などと雑談に紛れて尋ねてくるプロジェクト関係者たちも出てきている。
ここでいうAIのシンギュラリティとは「技術的特異点=Technological Singularity」のことで、「AIの知性が地球上の全人類の知性を超える時点」の意味で使われている。シンギュラリティが起こる主要因とされているのが、汎用人工知能(AGI)の進ちょくである。
汎用人工知能、すなわち「まるで人間のように自律的に思考や学習、判断、行動まで行える人工知能」のレベルがどんどん進化し続けることによって、そう遠くないうちにAIが人類の知性を超えるのではないかと予想されている、ということだ。
実際、今のAGIの開発方向性は、プログラムされた特定の状況以外の課題に対しても(要は「曖昧な課題設定」に対しても)問題解決を図ることができることを目指すものだ。
もしシンギュラリティが起こればどうなるのか。そうなればAIはAI自身でより賢いAIを作っていくと言われている。思想家で未来学者のレイ・カーツワイル氏はこのようなAIの登場を2045年辺りと予測し、「新しい生物の出現に匹敵するほど重要」と指摘している。
しかしここでよく考えなければならないのは「知性」とは何か、という定義である。
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