この状況は、まさに映画『2001年宇宙の旅』でAGIであるHALが宇宙船の乗組員に対し反乱を起こしたように、人間の指示を待つことなく「AIが自ら意志を持つ」ことで(AIが考える)最適な手段を執るよう、連携する系統に対し指示・制御ができることを意味する。
もしそうなれば立派に「知性」と言えるものが存在するといえ、そのときAIは人類の知性に並ぶ段階に至ったといえよう。当然、そうした「知的考察」能力をより研ぎ澄ますことで、人類の知性を超える道のりは遠くないだろう。
しかし現時点でAIの進化方向は、人間の頭脳と神経系統をなぞることで自律的な学習や課題に対する柔軟な判断がスムーズに行われるように研究されてはいるが、そうした「自律的な価値判断による課題設定」を実現するような方向ではない。
つまりシンギュラリティの実現は、予測できる将来時点の範囲内ではないと言っていい。これが人類にとって不幸な事なのか、それとも善き事なのかは、今は誰にも分からないが。 (日沖博道)
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