「スイングドア」をご存じだろうか。前後に開閉するドアのことで、スーパーやコンビニなどでよく使われている。お店のスタッフが商品を運ぶとき、台車をドアに「ばーん」と押し当てて、バックヤードに入ったり、出てきたりしているシーンを見たことがあるはずだ。
「ほ〜、アレって『スイングドア』っていうのか。荷物で両手がふさがっていても、作業できるので便利そうだよね。で、それがどうかした?」などと思われたかもしれないが、これまであまり目立ってこなかったドアにお客の視線を集めて、店の売り上げを伸ばそうという取り組みが始まっているのだ。
どういうことかというと、スイングドアにデジタルサイネージを搭載して、ディスプレイに商品動画などを映し出す。それを見たお客が関連商品を購入するという流れである。製品名は「サイネージスイングドア」。1970年代からスイングドアを手掛けているユニフロー(東京都品川区)という会社が2023年5月に開発し、スーパーなどで導入を図っている。
ユニフロー社製の特徴は、頑丈であること。台車を頻繁に使う現場でも、ほぼメンテナンスなしで長期間使用できる。また、スーパー、コンビニ、ドラッグストア、工場など、現場に合わせて1ミリ単位で製品を提供していることも好評のようで、同社のシェアはトップ(建材マーケット調べ)。市場全体で年間の販売数は3万5000枚ほどだが、同社はその85%を占めているという。
新しい製品をつくらなくても、売り上げは安定してそうだが、なぜユニフローはサイネージスイングドアを開発したのか。きっかけは2つあり、1つはお客からの声である。「各店舗での販促を活性化させたい」「チラシやPOPの経費・手間を減らしたい」という要望があった。
もう1つは、耐久性である。先ほど紹介したように、スイングドアはなかなか壊れない。それは「会社の信頼」につながることなのでとてもいいことだが、一方で「そろそろ交換しようか」という動機がなかなか生まれない。新しい製品を投入することで、交換需要が生まれるのではないかという狙いがある。
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