輸送コストの改善を進めるにあたり、大きい効果があるのが「荷姿改善」だ。これは輸送荷量を縮めるための方策である。某ビールメーカーは、ビールびんを軽量化し、重量物である製品をより多く積載できるようにした。これによってビール1本あたりの輸送コストを削減することに成功した。
すぐできる荷姿改善としては、今の荷姿を観察して「あと1つ入れられないか」を考えるとよい。仮に10個入りの容器に1個積み増しできたとしたら、それだけで理論的に10%の輸送コスト改善につながる。まず、このような愚直な荷姿改善を繰り返すことが重要だ。箱の中に隙間を見つけ、それを一つ一つつぶしていこう。
次に容器そのものを改善することを考えてみよう。一回り大きな容器に変更するだけでも単位当たりの輸送コスト削減につながる。この延長で容器モジュールの体系化を実施することをお勧めしたい。日本ではトラックのサイズにぴったりはまる容器を検討する会社は多くない。結果的にトラックと容器の相性が悪く、荷台に空きスペースができてしまっている。トラックの荷台を輪切りにして考えることで、そのトラックにぴったりはまる容器を設計することができる(図2)。
輸送に適した製品とは何か。それは輸送した時に、積載率を低下させない製品のことである。四角い箱にものを入れることを考えてみてほしい。入れた時に周りにたくさんのスペースができてしまうような製品は、輸送する時にスペースロスが発生することになる。
そのような製品を設計すると、常にロス分の輸送コストを発生し続けることになる。ピースを同じ形にして筒状の容器にびっしりと詰まった製品と、ランダムな形のため風船のような袋に入った製品がある場合、輸送を考慮すると前者の方が望ましい設計であると言える。
先端企業では輸送を考慮した製品設計を実施し、物流コスト削減に寄与している。皆さんの会社でもこのような活動を行うことで、ライバル企業に物流コストで勝てる可能性がある。今後も続くと考えられる輸送力不足に備えて「運ぶ荷物を縮める活動」を仕掛けることも必要だろう。
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