同社がインバウンド戦略で重視しているのが、「ドンキでしか得られない買い物体験」の提供だ。川下氏は「『安さ』と『アミューズメント性』を提供できるという当社の強みが来店動機の向上へつながる」と説明する。
この買い物体験には2つの要素がある。1つは、ドン・キホーテの店舗ごとに違う演出やレイアウト、多数のPOPなど他の小売店にはない店内での観光体験だ。もう1つは、流行品からオリジナリティーあふれる商品まで、宝探し感覚で衝動買いしてしまうトレジャーハント体験である。
インバウンド需要の取り込みを強化するため、ドン・キホーテでは訪日客の旅行動線を分析し、彼らがどのように日本を楽しんでいるかを考慮したうえで、全国で40店舗を超えるインバウンド強化型店舗を展開している。
2015年にオープンした「道頓堀御堂筋店」もそのひとつだ。川下氏は「道頓堀エリアは狭い商圏にもかかわらず、多くの人が集まるスポット。既存の道頓堀店の混雑緩和と顧客ニーズへの対応を目的に出店した」と説明する。
同店舗はコロナ前の2019年まで全国でもトップクラスの売り上げを記録し、コロナ禍を経た現在ではさらに伸びている。近隣の道頓堀店と合わせ、いずれも人気店として支持されている。
道頓堀御堂筋店では、医薬品、菓子、たばこ、酒などがインバウンド顧客に人気だ。アミューズメント性の向上のために外壁には、47都道府県のご当地ドンペンをデザインするほか、各階も商品特性やテーマに沿った世界観を演出することで、まるで観光地に来たような感覚を味わえる工夫を施している。
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