PayPayといえば、スマートフォンを使ったQRコード決済が有名だ。しかし、同社が今力を入れているのは、意外にもプラスチックカード「PayPayカード」だという。なぜなのか。
PayPayには、アプリ上で赤く表示される残高払い、青のPayPayクレジット、黒のPayPayカードの3つの決済手段がある。赤の残高払いは、事前にチャージした残高からの支払いで、いわゆるQRコード決済の代表格だ。
青のPayPayクレジットは、PayPayアプリ内で利用できるクレジット機能である。事前のチャージは不要で、当月の利用額を翌月にまとめて支払える。PayPayカードユーザーが利用できるが、クレカから残高にチャージしているわけではなく、カードの与信を用いてPayPayの後払いを実現している形だ。
黒のPayPayカードは、実際のプラスチックカードが発行される従来型のクレカだ。店頭での利用やオンラインショッピングなど、幅広い場面で使用できる。
このうち、同社が今、特に注力しているのが青と黒だ。
大島氏は「決済の方法はお客さまが判断すること。その中で選択肢を広くカバーして提供していきたい」と語る。つまり、コード決済だけでなく、カード決済のニーズにも応えるという戦略だ。
一見すると、黒のPayPayカードは、アクワイアラ(加盟店契約会社)やブランドネットワークへの手数料が発生するため高コスト、逆に赤い残高払いや青のPayPayクレジットは、PayPay社内で完結するためコストが小さいように思える。
しかし、実際は青と黒のほうが収益性が高いという。その理由は主に2つある。1つは決済額の違いだ。クレカ決済は、QRコード決済に比べて単価が高くなる傾向がある。単価は、コード決済の赤い残高払いのほぼ倍になっているという。もう1つは金融収益だ。クレカならではのリボ払いなどの手数料が、収益を押し上げる。
実は、PayPayの成長ドライバーはクレジット決済とプラスチックカードだ。3月にはPayPayカードの支払い情報がPayPayアプリからリアルタイムでチェックできるようになり、コード決済とカード決済の体験を統一化していくことで、売上額を増加させていく戦略を採っているコード決済の代表格であるPayPayだが、PayPay経済圏全体で見れば、プラスチックカードの存在感は決して小さくない。PayPayの戦略は、単にQRコード決済の普及だけを目指すものではない。スマートフォンとプラスチックカード、そしてクレジット機能を組み合わせた多角的なアプローチで、決済市場全体のシェア拡大を狙っているのだ。
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