「自分専用のエージェントがあったらいいと思いませんか?」
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は10月3日、都内で開いた自社イベントで、個人専用のAIが予定の管理や買い物などを代行する「パーソナルエージェント(PA)時代」が数年以内に到来するとの見方を明らかにした。
孫氏は、何でも相談できる個人専用のAIであるPAを一人一人が持つようになり、PAがありとあらゆるものを代行する時代が始まると話す。
「例えば自分の子どもが夜中に急に熱を出した。何とかしなきゃいけない。(そんなときに)自分がPAを持っていて、そのPAが普段から自分の子どもや家族の健康状態や病歴を知っている。病院に行くと1日中いろんな質問をされますが、PAは普段から自分と常に一緒にいて、家族の状態を知っている。だからPAがすぐに『その状態ならこうしたらいい』『応急処置としてこれをしたらいい』と教えてくれる。しかもPAがすぐに最寄りの病院に連絡して『ここの病院でベッドが空いている』(と教えてくれる)。PAが電話をかけまくってくれる。あなたの代わりに」
この例に限らず、PAはあらゆる物事を代行してくれるという。例えばECで自分の代わりに買い物をしてくれる。
「もうそろそろ冷蔵庫の中にある何が切れそうだ。今週はこんな料理がいいんじゃないかっていうことで、代わりに予約したり買ったりしてくれる。他にも投資や家庭教師からメール管理まで、ありとあらゆる分野で、あなた専用の相談役になる」
このPAは定型的なエージェントではなく、まさしく個人に焦点化したものだという。その上で、現在のB2BやB2Cの概念を引き合いに出しながらA2A(Agent to Agent)の時代になると説明した。
「これからはA2Aの世界です。皆さんが寝ている間にエージェントがエージェントに、ネゴシエーションしてくれる。お互いのスケジュールをチェックして『今週末ランチどう?』と誘うと『今週末は(予定があるので)勘弁してください』と返す。でも、すごい大事な相手だったら、もう(予定を)キャンセルしてでも行くというような交渉を、エージェント同士がしてくれる。エージェント同士が仕事のやり取りをしてくれるのです」
孫氏が今回言及したPAが普及する未来のシナリオは、これまで掲げてきた「AGI(Artificial General Intelligence、汎用型人工知能)」や「ASI(Artificial Super intelligence、人工超知能)」が訪れた後の人々の日常生活を、具体的に説明したものに見える。6月に開いた株主総会で孫氏は「SBGの使命は、ASIを活用しながら人類の進化に貢献すること」だと話し、ASI時代が10年前後で訪れると分析していた。
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