サイゼリヤの進化か、改悪か? メニュー削減と2000店舗拡大の裏にある戦略スピン経済の歩き方(5/7 ページ)

» 2024年10月09日 05時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

「中国依存」によるリスク

 正直これは「ゆがんだ経営」と言わざるを得ない。値上げをしながらも好調に売り上げを伸ばす中国市場の稼ぎによって、値上げをしないことで低成長を続ける国内事業を下支えして、なおかつ店舗数拡大まで目指すというのは「健全」とは言い難いポートフォリオだ。

「セルフレジ」の導入も進めてきたサイゼリヤ

 このような「中国依存」が大きな企業リスクになることは言うまでもない。過去に何度かあったが、かの国では反日感情が高まると、日系企業の製品やサービスは不買運動の対象となり最悪、撤退もあり得る。また、中国は消費者運動が日本と比べものにならないほど「炎上」するので、ちょっとした不祥事が命取りだ。

 分かりやすい例が、熊本の「味千ラーメン」である。同店は中国全土に500以上の店を構えるほど人気店だが、かつて店でとんこつスープを調理していないことが判明する「豚骨スープゲート事件(骨湯門事件)」という大騒動が起きて、ブランドに大きな傷が付き実害も出た。

消費者がサイゼリヤに求めてることは

 サイゼリヤの中国店舗も絶好調だが、これから先何が起きるか分からない。中国事業に大きな損失が出たとき、今の国内事業でそれをカバーできるのか。

 このような事業環境を踏まえるとやはり「2000店舗」は現実的ではない。というよりも、ここが全ての問題のような気もする。

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