例えば、2021年第1四半期に1097店舗だったものが、2022年同期には1087店舗、2023年同期には1071店舗と減少して、ついに2024年同期には1051まで減っているのだ。
このように苦戦する国内事業と対照的なのが、中国市場だ。中国のサイゼリヤももちろん「安くてうまい」を武器に成長しているのだが、日本のサイゼリヤと決定的に違うのは「値上げ」をすることだ。
「サイゼリヤは、アジアでは機動的な価格政策を実施している。上海や香港にある各地の法人が、それぞれの地域の経済状況などから価格を決定し、柔軟に値上げを行っている。
サイゼリヤの松谷秀治社長は、『例えば、中国では賃金の上昇が続いている。サイゼリヤは値上げを行っても、「リーズナブルなイタリアン」として認識されていることもあり、客数も伸びている』と話す」(東洋経済オンライン 2023年10月21日)
しかし、日本のサイゼリヤは「柔軟な値上げ」をかたくなに拒んでいる。できないのだという人がいるが、外食チェーン各社は普通に値上げをしている。かつて値上げをするとネットやSNSで「庶民切り捨てだ!」「もう行きません」と不買が呼びかけられたマクドナルドはこの2年で5度の値上げをしているが、業績は好調だ。
こういう他社事例が山ほどある中で、サイゼリヤが値上げに踏み切れないのは「自縄自縛のわな」に陥っている可能性が強い。「安さが強み」だと自分たちでも言ってきた。客にアンケートを取れば「安いから来た」という声が多い。そういうことを繰り返しているうちに「安さ」の奴隷になって、ここを失うことは全てを失ってしまう、という強迫観念にとらわれてしまっているのだ。
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
“閉店ドミノ”の「ドミノ・ピザ」が、さらに「苦戦」しそうなワケ
なぜ、すき家は“ディストピア容器”を提供するのか 「並盛430円」のスゴさが見えてきた
バーガーキングがまたやらかした なぜマクドナルドを“イジる”のかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング