「タイミーさん」呼び、スポットワーカーの4分の1が「快くない」 事業者はどう配慮すべきかスポットワーカー618人に調査

» 2024年10月25日 17時02分 公開
[ITmedia]

 スポットワークが急速に普及する中、働き手を「タイミーさん」「派遣さん」のようにサービスの名称で呼ぶ風潮が広がっている。スポットワーカー自身はこうした呼称をどのように捉えているのか。タイミーが調査を実施した。

photo スポットワーカーの適切な呼び方とは(提供:ゲッティイメージズ)

「快い」が「快くない」上回る

 勤務中に「雇用形態名+さん」「スポットワークサービス名+さん」と呼ばれたことがあるスポットワーカーは、全体の44.0%に上った。

photo 働いている時に「雇用形態名+さん」「スポットワークサービス名+さん」と呼ばれたことがあるか(プレスリリースより引用、以下同)

 勤務中に「雇用形態名+さん」「スポットワークサービス名+さん」と呼ばれることについては、「特に何も思わない」が41.5%と最多に。また、「快い・心地よい」とした人は32.2%で、「快くない・心地よくない」(24.3%)を7.9ポイント上回った。

photo 働いている時に「雇用形態名+さん」「スポットワークサービス名+さん」と呼ばれることについて、どう思うか

呼ばれたい呼称は「本名」が約半数

 「雇用形態名+さん」「スポットワークサービス名+さん」と呼ばれることで受ける印象としては、「匿名性があり、安心感がある」が27.2%と最多に。「疎外感がある・距離を感じる」(18.8%)、「独立した個人として尊重されていない感覚がある」(16.2%)、「普段の自分と違う存在でいられる気がする」(12.9%)と続いた。

photo 「雇用形態名+さん」「スポットワークサービス名+さん」と呼ばれることで受ける印象(最も当てはまるもの1つ)

 希望する勤務中の呼称については、「本名」で呼ばれたい人が49.6%と最多に。2位は「ニックネーム」(26.5%)で、3位の「『雇用形態名+さん』『スポットワークサービス名+さん』のような呼称」も21.3%を占めている。

photo 働いている時にどのように呼ばれたいか

専門家の声は?

 スポットワーカーを固有の名前ではなく「雇用形態名+さん」「スポットワークサービス名+さん」と呼称することに対して、社会言語学を専門とする東洋大の三宅和子名誉教授は「従来的には、個人としての基本的人権を尊重していないという見方になると思われる」と指摘。

 一方で、呼称の印象について「匿名性があり安心する」との回答が最多となったことに対しては「サービスのユーザー層は非常に多様と考えられる。中長期的な関係を結ぶことを好む人もいれば、親しい関係の取り結びに興味が無い人もいるだろう」とした上で、「不思議ではない」との見方を示した。

 雇用側にはどのような配慮が求められるのか。三宅名誉教授は「『どう呼ばれたいですか?』と一言尋ねて、個々に向き合う姿勢を示すだけでも全く違う」と指摘。「短時間・単発だとしても、そうしたコミュニケーションから始めて、働き手一人一人に配慮することが重要なのではないか」とコメントしている。

 タイミーによる調査によれば、タイミーを導入している事業者518社のうち、働き手を本名で「呼んでいる」とした事業者は43.2%に。「呼んでいない」(56.8%)が上回る結果となっている。

photo タイミーでの働き手を本人の名前で呼んでいる事業者の割合

 スポットワーカーを対象とした調査は2024年7月26〜27日、事業者を対象とした調査は2024年9月16日〜10月7日にインターネット上で実施。47都道府県のスポットワーカー618人と、タイミーを導入している事業者518社から回答を得た。

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