モスの場合、新商品を販売するタイミングでキャンペーンを展開する。すると、売り上げは伸びるものの、キャンペーンはやがて終了する。と同時に、客足も遠のいてしまう。売り上げを伸ばすためには、次の企画を待たなければいけないというわけだ。
もちろん、細かな話をすれば、もっと複雑な事情がからんでくるわけだが、話を単純化すると概ねこういった傾向がある。ただ、モスドの場合は違う。モスのキャンペーンが終わっても、ミスドのキャンペーンが始まればどうなるか。通常のモスの店舗であれば売り上げが落ち着くタイミングでも、そのまま高止まりの傾向があるそうだ。
いわゆる“相乗効果”によって、モスドの業績は好調を維持しているようだ。広島に店を構えたとき「売り上げは月1300万円を目指す」という話が出ていたが、現在はその数字を大幅に上回っているようだ。
といった話を聞くと、ますます先ほどの疑問が気になってくる。なぜ9年ぶりなのか、なぜ店を増やさなかったのかである。取材を進めていくと、背景に「2つ」の理由があることが分かってきた。
1つは、厨房設備である。モスとミスドのコラボ店となれば、通常店と比べて、電気もたくさん使うし、ガスもたくさん使う。このほかにも、いろいろなものをたくさん使うわけだが、その設備容量に耐えられる物件をなかなか見つけられなかったのだ。もちろん、中には「これだ!」といった物件もあったそうだが、他社との競争によって手にできなかった事情もある。
もう1つは、カニバリである。モスの店舗は1312店(9月末時点)、ミスドの店舗は1017店(3月末時点)。合わせて2000店を超えると、物件探しに苦労するようだ。「この商業施設はいいかも」と思っても、どちらかの店舗がある。「この施設にはどちらの店もないので、大丈夫だ」となっても、近隣店舗(モスまたはミスド)のことを考えなければいけない。
市場調査をして「近くの店に影響がでる」というデータがでれば、やはりそれを無視できない。「モスとミスドのコラボ店は業績がいい」という結果がでているものの、条件をクリアーする物件になかなか出会えなかった。つまり、これまで店を増やしたいのに増やせなかった事情があったようだ。
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