各社の製品や戦略を見てきたところで、それぞれの取り組みをマーケティング戦略として評価してみよう。
ドン・キホーテの低価格戦略は、価格に敏感な顧客層を引きつける上で効果的である。一方、ニトリはデザイン性やコーディネート提案により、付加価値を提供することで、やや高めの価格でも顧客に受け入れられている。山善は高機能・カスタマイズ性を武器に、機能性を求める顧客層に訴求している。
各社は、自社のブランドイメージに合致した製品開発を行っている。ドン・キホーテは低価格で多機能な製品、ニトリはデザイン性に優れた製品、山善は高機能でカスタマイズ可能な製品を提供している。このように、商品企画の段階から差別化を図っているといえる。
ドン・キホーテは店舗での販売に力を入れ、衝動買いを促す店舗設計を行っている。ニトリはオンラインストアと実店舗を連携させ、顧客の購買体験を向上させている。山善は自社WebサイトやSNSを活用し、専門的な情報提供と顧客コミュニケーションを重視している。
各社は顧客体験の向上に注力している。ドン・キホーテは気軽に商品を手に取れる環境を提供し、ニトリはインテリアとしてのトータルコーディネートを提案することで顧客満足度を高めている。山善はカスタマイズ対応や専門的なサポートで、顧客のニーズに細かく応えている。
チューナーレステレビは、単なる家電製品ではなく、新たなライフスタイルを提案する存在へと進化している。各社は、自社の強みを生かしたマーケティング戦略で市場にアプローチしており、その違いが市場の多様性を生み出している。今後も技術革新と市場環境の変化に対応しながら、各社の競争は続いていくだろう。
有限会社金森マーケティング事務所 マーケティングコンサルタント・講師
金沢工業大学KIT虎ノ門大学院、グロービス経営大学院大学の客員准教授を歴任。
2005年より青山学院大学経済学部非常勤講師。大学でマーケティングを学び、コールセンターに入社。数万件の「本当の顧客の生の声」に触れ、「この人はナゼこんなコトを聞いてくるんだろう」と消費者行動に興味を覚え、深くマーケティングに踏み込む。(日本消費者行動研究学会学術会員)。
コンサルティング会社・広告会社(電通ワンダーマン)を経て、2005年に独立。30年以上、マーケティングの“現場”で活動している「マーケティング職人」。マーケティングコンサルタントとして、B to B・Cを問わず、IT・通信、自動車・電機・食品・家庭用品メーカー、金融会社、生損保、自動車販売、EC等、幅広い業種に対応し、新規事業・新商品開発・販売計画・販売のテコ入れ案・コミュニケーションプランの策定等、幅広くマーケティング業務の支援を行っている。講師としても業種を問わず、年間100コマ以上の企業研修に登壇。コンサルティング経験を元に企業課題に合わせた研修のオリジナルのコンテンツやカリキュラムを提供。研修によってマーケティングを「知っている」だけではなく、「業務に生かせるようになること」にこだわっている。執筆は、「初めてでもマーケティングが楽しく体系的に学べる本」をテーマに10数冊刊行。「3訂版 図解よくわかるこれからのマーケティング」(同文舘出版)など。
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