【編集部注】メンバーシップ・ホールセール・クラブ(会員制量販店)といえば、日本ではコストコが有名です。倉庫のような巨大な店舗で、食料品や日用品などを安価に提供する小売業態を指し、会費を払った顧客が利用できます。
この業態が誕生した米国では、小売世界大手ウォルマートが運営するサムズクラブも人気を博しています。米テキサス州ダラス郊外に10月オープンしたサムズクラブの新店舗は「未来型店舗」とも呼べるようなさまざまなテクノロジーが用いられているといいます。どのような店内なのか、米ビジネスメディア「Retail Dive」のレポートを紹介します。
米テキサス州ダラス郊外のグレープバインに新しくオープンしたサムズクラブに足を踏み入れた買い物客は、従来のレジカウンターやセルフレジがどこにもないことに気付くかもしれない。
その代わりに、全ての顧客はウォルマート傘下のクラブ小売業者のスキャン&ゴー(Scan & Go)ツールを使って商品を購入する必要がある。サムズクラブのクリス・ニコラス社長兼CEOは、今月初めに行われたグローサリーショップのセッションで「この店舗は、われわれが将来目指す方向を示すものだ」と語った。
この店舗は、ダラス地域のもう一つの革新的な業態である、レジのないテクノロジー・ストア「サムズクラブ・ナウ」の近くにある。2018年にオープンしたサムズクラブ・ナウは、会員がScan & Goアプリを使って酒類を購入できるようにするなど、現在ではチェーン全体に広がっているテクノロジーの実験場となってきた。
サムズクラブ・ナウは小規模だが、今回新たにオープンしたサムズクラブ・グレープバイン店は約15万平方フィートと、一般的なサムズクラブの店舗よりわずかに広い。これは、顧客へのアピール力を高め、業務を効率化するために、新しいソリューションやマーチャンダイジング戦術を試行するサムズクラブの約10年にわたる取り組みの最新のステップだ。サムズクラブではチェックアウト不要の技術が「急速に導入」されていると、ニコラス氏はオムニトークのインタビューで語った。
ニコラス氏は、店舗の出入り口に常駐する従業員が、Scan & Goツールの使い方を買い物客に教えることができると語った。サムズクラブの広報担当者によると、サポートが必要な会員には、モバイルPOSシステムを持つ店員が会計を手伝うという。
広報担当者によると、従来のサムズクラブ店舗では自動レシート確認用の「出口トラス」が2台設置されているが、今回新たにオープンした店舗には買い物客がより迅速に退店できるように3台設置したという。
ニコラス氏は、デジタル・エンゲージド会員(スキャン&ゴーやコンピュータビジョン対応のレシート認証出口、オンラインで買い物をする会員)は支出額が3倍高く、ロイヤルティも高いため、会員の更新率も高いと述べた。チェーン全体では、サムズクラブの顧客の約30%が同社の店舗を訪れる際にスキャン&ゴーを定期的に利用しており、買い物客の半数はデジタルに関与している。
「Z世代からグレート・ジェネレーションまで、世代や所得レベル、経歴に関係なく、ひとたびデジタル・エコシステムとつながれば、決して後戻りすることはない」とニコラス氏は語った。
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売り場をムダに歩き回る店員……店舗出荷型ネットスーパーの成功に必要な4つの視点© Industry Dive. All rights reserved.
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