楽天グループは11月6日、スマートフォンから注文された飲食物などを自動配送ロボットが届けるサービスを東京都中央区の晴海周辺で始めた。都心部の公道で監視員が随行せずにロボットで自動配送をするのは、同社として初の取り組み。
配送需要の高まりとともに人手不足が課題となる中で、ロボット配送に追い風が吹いていると捉え、サービスの定着・拡大を狙う。
商品を載せたロボットが、歩道の端を勢いよく走行していく。横断歩道の手前で信号待ちをしたり、歩行者が前を横切ろうとすると一時停止したりする。
楽天が新たに始めたのは「楽天無人配送」というサービス。利用者がスマホ向けの専用サイトから商品を注文すると、指定した場所まで最短30分で届けられる。配送中は専用サイトで、ロボットの現在地を地図上に表示。到着すると、利用者のスマホにSMSなどで暗証番号が通知され、機体の操作パネルに入力することで扉が開き、商品を受け取れる仕組みだ。
周辺の飲食店やスーパーマーケットと連携し、5300品以上を取り扱う。届け時間は、30分から最長6日先までの15分ごとの枠から指摘できるようにしている。配送手数料は1回につき100円。
ロボットは2019年にGoogle出身メンバーを中心に設立された米スタートアップCartken(カートケン)が開発。自動走行と遠隔操作で商品を運ぶ仕組みだ。
機体の前後左右には、障害物の検知や、周囲の映像を確認できるカメラを搭載。AIモデルやアルゴリズムを用いた自動走行機能や衝突回避機能を備えている。信号機がある横断歩道などを渡る場合は、担当者が遠隔操作でロボットを制御する。
ロボットの最高速度は時速5.4キロメートル。道路状況に応じてスピードを調整し、歩行者と同じくらいの速度で走る。長さ71センチ、高さ62センチで、電動車いすと同じくらいの大きさだ。
楽天グループは2019年から自動走行ロボットを活用した屋外での配送事業に取り組んできた。2022年11月〜23年12月には茨城県つくば市のつくば駅周辺で、西友などの商品をロボットで配送する同様のサービスを展開していたが、当時は監視員がロボットに随行する形で実施していた。
23年4月に改正道路交通法が施行され、ロボットが公道を走行するためのルール整備が進んでいる。楽天グループ無人ソリューション事業部の牛嶋裕之さんは、EC市場の拡大や人手不足、AIなどの革新技術を挙げ、「無人配送への追い風が吹いていると認識している」と話す。
配送料を100円に設定したことについては「こうしたデリバリーサービスは、まずは使ってもらわないと軌道に乗らない」と話し、現在は顧客接点を増やすことに注力するフェーズとの考えを示した。
今後、利用状況に応じて、サービス地域の拡大なども検討するという。
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