音声データや分析した情報は、CRMなど共通のプラットフォームを介して全社的に共有することで、あらゆる部門から音声データを集めやすくなり、良質なデータを大量に持つことにつながります。
しかし、単に音声データを保存するだけでは、活用が進みません。そこで、音声データから具体的なアクションアドバイスを生成AIを活用して抽出した上で、Slackなどのメッセージアプリを使い手軽に振り返り・共有できる環境を整えることで、他部門との連携も深まり、音声データの活用が進みます。
音声データの活用を進めるには、データを蓄積するためのシステム整備と並行して、従業員の意識改革が欠かせません。従来の営業モデルでは、人員増加による売り上げ拡大が一般的でしたが、生産年齢人口の減少が進む日本においては、少人数でも高い成果を出すために、AIを活用する姿勢が求められます。
また「システムを導入すれば、自然に社内で音声データ活用が進むだろう」という誤った期待も問題になります。AIは万能ではなく、その力を引き出すには、経営層のリーダーシップや明確なメッセージが不可欠です。AI活用を通じて企業が目指すビジョンを経営層がトップダウンで発信することで、従業員もその方針に従いやすくなります。
音声データ活用の促進には、現場での小さな成功体験が大きな役割を果たします。例えば、商談で音声データを活用し、成果をあげた事例が共有されれば、従来のやり方に固執していた従業員も次第に新たな方法に魅力を感じ、自然と活用を始めるでしょう。このような事例を積み重ねることで、現場でのボトムアップの動きが加速し、音声データを蓄積する意義が社内に浸透していきます。
音声データの活用を推進する専任チームを設置することも、非常に有効です。特に大企業では、部門をまたぐデータ活用において調整が難しくなることが多く、兼務では進捗が滞りがちです。専門チームが経営層のビジョンと現場のニーズを橋渡しすることで、スムーズなデータ活用が実現しやすくなります。
複数部門にまたがって音声データ活用を進めるには、中間管理層の協力が欠かせません。中間管理層が音声データ活用の意義を理解していなければ、現場の担当者に「ただの作業」として押し付けられ、活用が進みません。逆に、現場の要望を経営層に伝える役割も中間管理層にありますが、現状維持にこだわる管理層が多い場合、変革が起きにくくなります。中間管理層の意識を変えるための教育やトレーニングを通じて、経営層と現場を結ぶ役割を果たせるように体制を整えることが大切です。
AI時代に「音声データ」が持つ価値とは? コミュニケーションを”資産化”する方法
根性論をなくす 人材育成を変革する「音声データ」活用法とは?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング