AIは社会を変える力を持っていますが、変革の主役はあくまでそれを活用する「人」です。経営者が変革のリーダーシップを発揮するために必要なスキルは、未来を描く力、伝える力、共感する力、そして実行する力の4点です。
市場や競合のデータに基づいたロジカルな戦略立案はAIの活用が可能で、今後より精度が高まるでしょう。一方で、情熱や直感など一見非論理的なアプローチで価値を創造する力は人にしかできないことです。AIが「おすすめしない道」を切り拓いていくことが、AIでは見いだせない未知の分野の探求につながる可能性もあります。
データに基づいた説得力のある説明はAIの強みです。経営者は、データの説得力に加え、熱意や信念を伝えることで、従業員にやる気や信頼が生まれ、行動を起こす原動力となります。
AIは具体的な解決策の提供は得意ですが、過去の経験や相手の感情をもとに共感する機能はプログラムしない限りありません。人の気持ちや考えに共感する力は人にこそできる能力で、チームの結束を強化し大きな組織を作ることができます。
1人でできることには限界があり、目的やビジョンを共有できるチームを作ることが、課題解決に向けた実行へとつながります。異なる背景や専門知識をもつ多様性のあるチームでは、解決策やイノベーションが生まれやすくなります。
AI技術の発展は、日本企業にとって一気に変革をもたらすチャンスです。日本政府も2023年5月のG7広島サミットで「広島AIプロセス」を立ち上げ、AIに関する国際的なデファクトスタンダードを作る動きを見せています。
この公的な動きに民間企業も積極的に参加し、官民一体となってAI社会を実現していくことで、AI時代における「資源国」となり再び日本がグローバル社会における存在感を高める契機となるでしょう。
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