ビジネス的にはグループの三菱自動車を活用したい。しかし、それでは「技術の日産」の否定につながってしまう。そんなジレンマが外部に漏れてきたかのような、奇妙なスクープ報道があった。
『日産自動車、PHVを自社開発 EV逆風で世界戦略車に』(日本経済新聞 9月22日)
三菱自動車の技術を活用することなく、日産オリジナルPHVを開発して2020年代後半に販売できる準備を整える、という日経独自の特ダネである。
これが事実かどうかは分からないが、一つだけはっきり言えるのは、いまだに日産車内ではPHVを巡るスタンスが定まっていないということだろう。
会社の業績を左右する戦略が、なぜこんなに迷走するのかというと「技術の日産」だからだ。世界中のほとんどの自動車ユーザーからすれば、質の良いEV、HV、PHVに乗れることが何よりも大事だ。その技術を日産がつくろうと、三菱自動車のものを活用しようがどうでもいい。
大切なのは、価格や安全性、使い勝手、装備の充実さ、乗っていて楽しいのか、心が満たされるのかだ。それはまさしく中国人ユーザーたちが、アリアに感じられなかったことである。
「だからこそ技術が大事だろ!」と激怒しているエンジニアも多いだろうが、技術などどうでもいいという話ではなく、技術力はあくまで顧客の幸せを実現する「手段」に過ぎない。技術力を磨くことばかりに執着すると、顧客にそっぽを向かれると言っているのだ。
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