では、なぜそっぽを向かれてしまったのか。これは多くの専門家がさまざまな分析をしているが、共通して挙げられるのは「ブランド力の低下」だ。
かつて日産は中国に進出している日系メーカーの中で新車販売台数がトップだった。それをけん引したのが「シルフィ(SYLPHY)」というセダンだ。中国では「これぞ車」というセダン人気が根強いのである。
ただ、この成功をEVで再現できなかった。日産は2022年10月から世界戦略EV「アリア」を中国に投入したが、それが大コケしてしまったのである。
「やっぱり反日教育を受けている国だから日本車は苦戦するのでは」なんて思った人もいらっしゃるかもしれない。しかし、今回はそういうことではなく、シンプルに中国の国産EVと比べたとき「なんか違うんだよなあ」と違和感を覚える消費者がたくさんいたことが敗因だ。
さまざまなレビューを見てみると、アリアは中国人にとって「じゃない感」が満載だという。例えば、中国EVでは開放感のある大型パノラマガラスルーフにサッシュレスウィンドウ(窓枠のないドア)という未来感強めのデザインが人気だが、アリアは明らかに違う。
このような「じゃない感」強めの日本EVが中国で苦戦するのは当然である。発売早々、アリアは日本円で120万円近くの値引きに踏み切ったが、それでも販売は低迷した。この「安売りしても売れない」というのはブランドビジネスの「死」を意味する。当然、中国における日産ブランド全体が地盤沈下していく。
この深刻さは、2020年に稼働したばかりの常州工場を閉鎖したことが全てを物語っている。
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