サントリーの酒類事業が好調だ。同社が発表した10月の売り上げは、対前年比で119%に。中でも売り上げを伸ばしているのが「サントリー生ビール」と「翠ジンソーダ缶」だという。
2023年10月の酒税法改正により、ビールが減税された一方で、新ジャンル「第3のビール」が増税され、税率は発泡酒と同一となった。
新ジャンルとの差額が縮まったことを機にビールの需要は高まっており、各社はビール事業に力を注ぐ。サントリーの推計によれば国内のビール市場は、数量ベースで前年比106%(1〜10月の累計)に拡大した。
サントリー生ビールの出荷量も、数量ベースで前年比153%(同)と伸長。広報担当者は「40代以下の若年層の反応がよい」と話す。
また、売り上げをけん引しているのが、3月から飲食店向けに取り扱いを開始した、業務用の瓶・樽製品だ。10月末時点での取り扱い店舗数は約2万店に拡大。これは当初の年間目標の約1.3倍だという。
第3のビールに位置付けられる「金麦」ブランドは、酒税法改正による増税を受けて一時需要が落ち込んだものの、1月にリニューアルした「金麦〈糖質75%オフ〉」が健闘。一時的な需要落ち込みからの反動もあり、同ブランドにおける10月の販売数量は前年同月比185%と伸長した。
また、2020年に発売した「翠」ブランドも好調だ。飲料メーカー各社はジン飲料に力を入れており、同ブランドは2023年の時点で、金額ベースで発売当初と比べて約10倍の規模に成長している。
2022年3月に発売した、翠ジンソーダ缶も順調に売り上げを伸ばしている。同商品の10月の販売数量は、前年同月比で183%に。
追い風となったのが、6月に限定発売し好評を得た「翠ジンソーダ缶〈柚子搾り〉」の再発売だ。10月15日に再発売したところ、発売後約2週間で500万本超(250ミリリットル換算)を売り上げたという。
【編集履歴:2024年11月14日午後10時30分 サントリーへの追加取材により、本文を一部修正いたしました】
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