あくまでもテスト店舗と位置付けるSIPストアが1号店から増えないのは、やはり競合が多いためだろう。日販は100万円を超え、女性客比率も既存店の4割台から65%に上昇したとしているが、他の地域に出店できるかは疑問だ。前述の通り、化粧品・ベビー用品で集客する手段は薬局が競合となり得る。向かい側のオーケーに客を取られているように、食品スーパーには品ぞろえと価格で劣る。
似たような業態に、イオングループの「まいばすけっと」がある。首都圏を中心に1000店舗以上を展開し、コンビニとスーパーを合わせた機能を持つ。一部店舗ではたばこを販売し、ATMも設置している。
まいばすけっとは何より価格が競合と遜色ない点が特徴だ。生鮮は一般的なスーパーとそう変わらないが、150円以下のペットボトル飲料を多くそろえ、600円以下で量も十分な弁当を販売している。生鮮を買う客とコンビニと同じように飲料や軽食だけを買う客の2パターンで利用されており、コンビニとスーパーの両機能をうまく合わせた店舗になっている。
まいばすけっとは住宅街の隠れた場所やオフィス街など、食品スーパーの“過疎地”に出店し、競合を避けることに成功している。SIPストアのように駅前至近の場所に出店する例は少ない。同店舗が既に都内を押さえている以上、SIPストアが都内で攻勢をかけるのは難しいだろう。
最近では“上げ底弁当”や“パッケージ詐欺”が話題になるなど、セブンに対する風当たりは強い。競合の多い他業態に進出する前に、既存店の商品を見直すべきではないだろうか。
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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