飲みニケーションは必要か不要か? 議論で語られない管理職の“決定的な欠点”スピン経済の歩き方(5/7 ページ)

» 2024年11月27日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

冷静に考えれば「酒を飲む」だけの話

 上司の言うことは正しいのでウンウンとうなずいて聞くしかない。「それはちょっと違うんじゃないすか」などと口答えをすれば、場の空気も悪くなるし、場合によってはこっちを論破しようと上司の演説をいたずらに長くしてしまうのだ。

 しかも、「新人」「部下」なので注文やらで気を使わなくてはいけない。何も動かないと「お前、そういうところが仕事でもダメなとこだぞ」なんて怒られる。

 楽しくもないし、何か自分のキャリアで得られることもない。帰宅したらドッと疲れが出て、「あの時間ムダだったな」と後悔しかないだろう。

むなしさも残る飲み会に(画像はイメージ)

 もちろん、多少のメリットもある。酒に付き合えば、上司から「オレに従順なヤツ」だと目をかけられ、業務配置や人事で多少の優遇を受けられる。組織内のゴシップにも詳しくなる。

 ただ、そうなってくると、ますますこの酒席は「業務」に近い。なにも自分のサイフを痛めて、貴重なプライベートを犠牲にしてまでやらなくてはいけないことなのか。こうした疑問は当然、浮かんでくるだろう。しかも、終身雇用という制度が崩壊した今、この会社にいつまで世話になるかも分からないのだ。

 「これって何か意味あんの?」とむなしくなる人が多くなるのは、人間の感情として至極当然だ。

 これはビジネスの世界「あるある」だが、「飲みニケーション」というパワーワードだけが一人歩きして、いつの間にか「日本型組織でなくてはならないチームビルディング手法」のように語られてしまっている。しかし、冷静に考えれば、それは単なる「酒を飲む」行為に過ぎない。

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