「酒を飲む」くらいで、チームビルディングやマネジメントのさまざまな問題が解決されるのなら、世界中のオフィスで酒盛りが行われているはずだが、そんなことになってはない。
確かに、日本のサラリーマン社会では、周囲と打ち解けられない問題社員と飲みにいったら分かり合えたとか、飲み会をやったらバラバラだったチームが一つにまとまった、というようなサクセスストーリーが常識のように定着している。
しかし、それはあくまでその飲み会を主催した側や管理職側、あるいは楽しめた人たち目線の話に過ぎない。本当はイヤだけどみんなが行くから仕方なくとか、場を乱したくないのでノリに合わせている、という同調圧力に屈している人もたくさんいるのだ。
要するに、われわれは「飲みニケーション」という言葉の響きに惑わされて、会社の飲み会や上司と飲みに行くことの効果を「過大評価」してしまっているのだ。
これは個人的には「ビール会社のCM」の影響も大きいと思っている。有名俳優や人気タレントがうまそうにビールを飲んで、その場にいる人みんなが全て笑顔になって、ハッピーになるという描写が多い。
広告表現なのでしょうがないが、現実の酒席はそんなきれいごとばかりではない。おいしいのは最初の一杯だけで、悪酔いして口論になったり、下世話な話になったり、誰かの悪口・陰口で盛り上がることもある。「酒」には悪い面もたくさんあるのだ。
そういう現実を踏まえたら、「会社で飲み会はアリかナシか?」「上司と飲みに行くことの是非」なんて議論はナンセンスではないか。
会社が終わってからも話をしたい人とは飲みに行くし、そうではない人とは飲みに行かない。それだけの話である。
これまでのお酒ライフの中で「ああ、あの時は本当に楽しかった」という酒席を思い出していただきたい。ほとんどは気の知れた友人・知人などと酌み交わしたときではないか。
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