佐久間俊一(さくま しゅんいち)
レノン株式会社 代表取締役 CEO
城北宣広株式会社(広告業)社外取締役
著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。
グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティングにて小売企業を担当するセクターのディレクターとして大手小売企業の制度改革、マーケティングシステム構築などDX領域のコンサルティングを多数経験。世界三大戦略コンサルファームとも言われている、ベイン・アンド・カンパニーにおいて2020年より小売業・消費財メーカー担当メンバーとして大手小売企業の戦略構築支援及びコロナ後の市場総括を手掛ける。2021年より上場会社インサイト(広告業)のCMO(Chief Marketing Officer)執行役員に就任。
2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。
2019年より1年半に渡って日経流通新聞にコーナーを持ち連載を担当するなど小売業には約20年間携わってきたことで高い専門性を有する。
日経MJフォーラム、KPMGフォーラムなど講演実績は累計100回以上。
かつて、日本企業の海外輸出は1980年代後半の円高を受けて活発化しました。それが今では、「国内市場の飽和」を背景として、さらなる成長を遂げるためにグローバルに進出するしかない――といった消極的な文脈で語られることが多くなっています。
「失われた30年」という言葉を聞いたことがある方も、多いはず。1989年には、世界の時価総額ランキングトップ20のうち、70%(14社)を日本企業が占めていました。しかし、2023年2月末時点では1社もありません。
次の図からは、上位企業の時価総額が飛躍的に拡大しているのがみてとれます。1989年に1位だったNTTの時価総額がそのままだったとしても、2023年には50位以内にすら入らないほど、世界各国の企業は発展を遂げたのです。
また、金融業や製造業が上位を占めている1989年と比較し、2023年は、IT企業や事業が複合的に展開され相乗効果を創出している企業が多く見られます(例:アマゾンはクラウド事業、通販事業、サブスク事業。テンセントはSNS事業、金融事業、ゲーム事業など)。
つまり世界市場で戦うには従来の事業モデルでは勝率が高まらず、多様な顧客に多様なシーンで利用してもらえる、新たなビジネスモデルや技術を保持した展開が必要だと想定されます。
上位にランクインしているのは、世界中をマーケットとして展開している企業ばかりです。もちろん、売り上げの拡大を求めず、利益重視の経営にシフトする戦略もあるでしょう。しかし企業規模の拡大を求める場合、グローバル市場への展開は避けて通れない道ではないでしょうか。
そして、前述したように、ビジネスモデルこそ多様性を重視し、ターゲットはグローバルを見据える戦略設計が求められていると感じます。
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