キャッシュレス化が進む中、ポイントは単なる「お得」から「経済活動の一部」へと変貌を遂げている。本連載では、クレジットカード、QR決済、電子マネーを中心としたポイントプログラムの最新動向を追い、企業の戦略やユーザーへの影響などを分析する。
最後発の2社が、異色の組み合わせで新たな挑戦を始める。投資信託のクレジットカード積立(クレカ積立)市場に、ネット証券最後発の松井証券と、大手カード会社で唯一参入していなかったJCBが、2025年5月に新サービスを投入する。
クレカ積立は楽天証券が2018年に開始して以来、同社の成長をけん引したサービスだ。ライバルのSBI証券も三井住友カードなど複数社と組んで参入し、投信積立額を大きく伸ばした。マネックス証券やauカブコム証券など、他のネット証券も相次いでサービスを投入する中、松井証券は「半永久的に赤字になる」として最後まで参入を見送ってきた。
新NISA(少額投資非課税制度)を追い風に投信積立市場が活況を呈する中、この後発2社はどのような戦略で挑むのか。
新サービスの対象は、JCBが直接発行するJCBオリジナルシリーズの各カードだ。対象となるのは、年会費無料の「JCBカードS」「JCBカードW」「JCBカードW plus L」などの一般カードと、有料の「JCBゴールド」「JCBプラチナ」、さらに招待制の「JCBザ・クラス」といったプレミアム券種だ。
還元率は、月間のショッピング利用額に応じて変動する仕組みになっている。プレミアム券種では月間5万円以上の利用で最大1.0%、5万円未満で最大0.5%のJCB Oki Dokiポイントが付く。一般券種は月間5万円以上の利用で一律最大0.5%となる。いずれも月10万円が積み立ての上限となる。
「シンプルで分かりやすいルール設計を念頭に」とJCBイシュイング本部販売促進部長の山哲夫氏は説明する。
他社のクレカ積立と比較して、還元率はほぼ同水準か、やや高めといえる。少し前までは、年会費無料カードで1%還元というのものが多かったが、積み立て可能金額が5万円から10万円にアップしたのを機に各社は還元率を改訂。最近は、カードの券種によって還元率を変えるものが多く、さらに積立額に応じて金額を変えたり、カードのショッピング利用額によって還元率を変えたり、複雑なものが増えている。
「短期的にコロコロ条件が変わるのではなく、安定的に長期的な条件を提供していく」(山氏)というのが両社の考えだ。
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