全仏オープンのジュニア大会は、東京都世田谷にある第一生命相娯園内にあるテニスコートで開催された。ローランギャロスの大会と同じ赤土のコートで開催され、アジアを中心に男女のジュニア選手32人がエントリー。勝者は2025年の全仏オープンのジュニア大会本選への出場権を獲得でき、男女とも日本人が優勝した。同大会のアンバサダーの錦織圭も大会を盛り上げた。
なぜ日本で全仏オープンのジュニア大会を開催したのか。FFTのラバステ氏は「テニス市場や試合は欧米がメインですが、私たちは、もっとグローバルなトーナメントにすべきと考えています。海外に広げるには、こういった大会をアジア、南米、アフリカなどで開催することに意義があるからです」と話す。
すでにブラジルでは2年連続で大会を開催。ジュニアの大会にもかかわらず1000人を超える観客を集めた。アジアで開催する場合、テニス人口や市場規模、錦織圭のようなスター選手と会えるのは、ジュニア選手にとって価値のある経験になる点も考慮する。その結果、東京が選ばれた。ラバステ氏は、日本市場の重要性を語る。
「錦織圭選手は、リオ五輪で銅メダルに輝いた実績があります。一方で、大きなけがをし、そこから復活をしたという経緯もあり、ジュニア選手にインスピレーションを与える存在です。日本には坂本怜など強いジュニア選手もおり、日本のテニス市場自体は情熱にあふれ、大勢の人たちがテニスを愛しているので、このマーケットをさらに大きくしたいと考えました」
アコーとの提携はどのように見ているのか。
「2023年からオフィシャルパートナーとして契約しています。サンパウロのプルマンでも同じイベントを開催しましたが、東京の方が、規模が大きい上、ロゴをただ置くだけなく、全仏オープンの世界観を作り上げるために、客室やロビーなどを完全にローランギャロスの世界にしてくれました。世界初の試みで、とてもうれしいです」
日本テニス協会の坂井利彰常務理事・大会事業本部長は「全仏オープンジュニアの本戦に出る権利をつかめる場が日本にあるのはありがたいことです。(レッドクレイコートである)アンツーカーで勝つには体力のほか、ドロップショットなどで多彩な球種を交えた戦略も必要になるので、錦織選手によるアドバイスは将来の選手たちの財産です」と東京開催の意義を語る。
アコーが日本市場に注力することで、FFTは東京での全仏オープンジュニア大会への道が開きやすかった。アジアのジュニア選手に世界への入口を作ることにも役立ち、知名度も向上した。ホテルビジネスは、国内外の客数や稼働率の視点で語られがちではあるものの、スポーツを介した新しい形のビジネスもあることを教えてくれる。そんなコラボだった。両者にとって正にウィンウィンといえる。
ダニエルズ社長は「社内の広告用のビデオも一緒に撮影したのですが、他国のアコーグループのホテルでも同じようにやってくれたらうれしいです」と語っていた。日本のホテル業界にとっても、今後の新ビジネス展開の参考事例になるかもしれない。
テニス漫画「BREAK BACK」(秋田書店)の作者KASA氏が書き下ろした「Roland-Garros Junior Series by Renault」の公式ポスター(日本テニス協会のWebサイトより)
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