そこで必要になるのが業務の効率化だ。この日の発表会では、2社の実践事例が紹介された。
Web広告のワンスター(東京都港区)は、学生に対し社員との座談会の回数を増やしたり、面接対策をサポートしたりとコミュニケーション量を増やし、内定承諾率を大幅に伸ばした。
リソースを捻出するために業務を見直し、AIや派遣社員などを活用して、事務的なメール送信や日程調整、面接の要約作成・入力といった仕事を効率化。人事が人事にしかできない仕事にリソースを投下できる体制を構築したという。
今後は、本業であるWeb広告の技術も転用し、面接の録音・録画と過去のデータを使って自社にマッチしそうな学生を見抜き、選考を高速化したり、学生と面接する社員のマッチングをおこなったりすることも検討しているそうだ。
UIターン採用に力を入れる北國フィナンシャルホールディングス(金沢市)も、学生との接点を増やすことに注力した。
特にこれまで採用してこなかったような学生にも自社を知ってもらおうと、まだ志望業界を絞り切れていない傾向のある夏場のインターンシップに力を入れたという。このほか、幅広い社員と交流できる機会をつくり、本選考エントリー数や内定者数を増やした。
実現の背景にはやはりAIなどによる業務の効率化があるという。2026年卒の採用からは、都市部の就活早期化に対抗し、エントリーの開始時期を3カ月前倒しし、認知度アップを目指す。
同時にエントリーシートを廃止し、AI面接へ切り替えるという。画面に向かって話しかけると、その内容によって設問が変わるといったものだ。狙いは、採用担当者の負担軽減だけではない。内定者のESをはじめ選考情報が簡単に手に入り、生成AIの発展も目覚ましい時代にあって、より偽りのない姿で応募してもらいたいという意図があるそうだ。
こうした事例も踏まえ、Thinkingsの吉田社長は2026年卒の採用について次のように予測した。
「売り手市場の中で、企業は学生に個別対応していかなくてはいけない。人のやるべき部分と、AIやDXでやるべき部分のリソース配分を考えながら、採用を再構築していく動きが加速するだろう」
その上で「採用リビルド with AI」が2026年卒の採用トレンドキーワードになるとの見方を示した。
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