採用の応募チャネルの増加、通年採用の普及など、企業の採用活動は多様化・複雑化し、担当者の業務は煩雑になった。応募者一人ひとりと向き合い、採用のミスマッチをなくしていくことが経営課題にもなっている。
採用の在り方に商機を見いだし、国内800社以上に採用管理システム「SONAR ATS」を提供しているのが、人事領域にデジタル技術を活用するHRテック企業のThinkings(東京・中央区)だ。2021年1月に第三者割当増資と金融機関からの借入によって、総額9.5億円の資金を調達した。「採用の解像度を上げる」というビジョンを掲げ、採用データの一元化や、他のHRサービスと組み合わせて採用管理をサポートするサービスを手掛けている。
国内ではHRテック企業は乱立状態ともいえる。その状況下でThinkingsが資金調達を実現した背景について、リードインべスターとして投資したインキュベイトファンド代表パートナーの本間真彦氏と、Thinkings社長の吉田崇氏がオンラインで対談するイベントが開催された。『投資家が語るThinkingsの魅力と期待 〜SONARで日本の採用課題を解決する〜』と題して、採用活動の課題をHRテックが解決する可能性について語り合った。
Thinkingsは採用管理システム「SONAR ATS」を提供するHRテックベンチャーだ。「SONAR ATS」は企業の採用活動を支援するため、多様な応募チャネルに集まったデータを一元管理するツールで、ソフトバンク、ニトリ、NTTデータといった大企業から中小企業まで、国内800社以上が導入している。
「SONAR ATS」を導入することで、採用担当者は膨大な作業から解放される。採用の状況はダッシュボードで把握。エントリーシートの案内など採用のオペレーションを自動化できるほか、応募者や業種ごとに採用フローをチャートでデザインすることも可能だ。その結果、採用担当者は応募者一人ひとりと向き合う時間や、採用全体の企画に充てる時間が増える。吉田氏は採用活動の解決すべき課題を次のように説明する。
「採用担当者は非常に忙しい状況に置かれています。応募チャネルが増えて、通年採用が普及している中でも、採用活動を少人数で管理している企業は多いです。その結果、応募者対応に遅れて他の会社に人材を取られる、ミスマッチによって辞退者が増えるなど負のループに陥る可能性があります。
この課題を解決するのが採用管理システムの役目です。応募者情報を一元化することで、採用担当者は負担が軽くなり、採用活動に集中できます。SONAR ATSによって、応募者一人ひとりに時間をかけて、効果的な採用ができるようにサポートできればと考えています」
Thinkingsでは9.5億円の資金調達によって、「SONAR ATS」のサービス強化を図るとともに、他社のHRテックツールを組み合わせて最適な形で連携し、採用から入社後までサポートする「SONAR Marketplace」の実現を目指している。
「SONAR ATSとSONAR Marketplaceの2つの事業によって、企業の採用の解像度を上げて、真のマッチングを実現したいと考えています。採用担当者はたくさんのツールに囲まれ、応募者も増える中で、一人ひとりの応募者の解像度が上がらないまま採用しているケースもあると思います。採用の解像度を上げる支援を中心に据えて、企業の採用担当者が応募者にピントを合わせて向き合える世界観を作っていきたい」
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