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人事の課題をHRテックで解決 Thinkingsが掲げる「採用の解像度を上げる」ビジョンとは業務の複雑化とツールの乱立が課題(2/4 ページ)

» 2021年03月09日 17時36分 公開
[田中圭太郎ITmedia]

求人票を作る難易度が上がった

 同社は、シリーズAの投資ラウンドで9.5億円を調達した。ラウンドのまとめ役などを果たすリードインベスターとして投資したインキュベイトファンドの本間氏は、世界的に起きている企業の採用活動の変化を次のように解説する。

 「新型コロナウイルスの影響で、米シリコンバレーは大きく変化しています。シリコンバレーには大手企業や投資家が集積していたものの、最近はオースティンなど別の地域に人材が移っています。リモートワークだけでなく、リモートでの面接や副業・兼業まで、働き方が大きく変わりました。

 同時に、求められる人材が多様化しています。ベンチャーでもディープテック(編集部注:科学的な発見や革新的な技術に基づいて、世界に大きな影響を与える問題を解決する取り組み)、ヘルスケア、バイオ、宇宙など、求められる人材が多岐にわたるものの、その人材がどこにいるのかが分からないのが現状です。

 さらに、デジタル化の流れの中で、企業が参入している業態の垣根も分かりにくくなっています。象徴的なのは米テスラですね。車のメーカーだと思っていたら、エアコンの市場にも参入し、バッテリーも作ります。日本でも横断的な業態の企業が増えています。採用市場に対してキャリアの変化を説明していく力が、企業には必要になってくるのではないでしょうか」

 本間氏は、人材の獲得競争が激化する中で、企業は自社の組織でしか出せない付加価値を示せるかどうかで採用に差が出てくるのではないかと指摘。吉田氏は「どういう人材が欲しいのかを考えて求人票を作る行為の難易度が上がっている」として、二人とも「人材の採用から定着までをどのように科学していくのかが今後さらに求められる」という認識で一致した。

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