具体的にはどのような点で苦労したのだろうか。山田氏は「缶の中に本物のレモンを入れるアイデアまでは良かったが、実際に着手するとレモンの調達場所や品質保守、安定した供給体制の整備など、各工程で初めての取り組みばかりで課題が山積みだった」と振り返る。
原材料の調達では、担当者が各地のサプライヤーと交渉を重ねた。特に日本の品質に対応してくれるような海外のサプライヤーを探すのに苦労したという。
レモンについては、同社としてポストハーベストフリー(PHF:収穫後の農薬不使用)で防カビ剤を使わないことを基準としていた。そのうえで、品質を担保するには調達先でレモンをスライス後に乾燥させ、ドライフルーツにする必要があったという。
缶の中で浮かび上がらせるために、レモンスライスの厚さについてはミリ単位で試行錯誤を重ね、最終的に5ミリに設定。それを1分間に約600個のペースで缶に入れる独自ロボットについても、ゼロベースで開発した。
ちなみに、レモンスライス(輪切り)になるまでも紆余(うよ)曲折あり、くし型や半月型も検討したという。「居酒屋だとハーフカットでレモンを自分で絞るタイプが多いが、レモンが大きいと缶の中に入らず、味わいも染み込まない。試行錯誤を重ねた結果、レモンスライスに落ち着いた」
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