三菱UFJ信託銀行は、フィンテックスタートアップのYoii(ヨイ)が組成するスタートアップへの資金提供に特化した総額11.3億円のファンドにアドバイザリーおよび出資者として参画する。
Yoiiが組成するのは売上買取型資金提供(レベニューベースドファイナンス、RBF)と呼ばれる新手法。従来型の融資や出資とは異なり、売り上げの一部を買い取る形で資金を供給する仕組みを通じ、スタートアップ企業の新たな成長資金調達手段として注目を集める。
地域経済活性化支援機構(REVIC)や福岡銀行、琉球銀行なども出資に加わり、ファンド設立のアドバイザーを務める。
RBFの最大の特徴は、担保や個人保証を必要とせず、スピーディーな資金提供が可能な点だ。Yoiiでは申し込みから4営業日での資金提供を実現している。資金提供額は最大1億円で、企業の過去の売上データをもとに将来の収益を予測し、その一部を買い取る形で資金を提供する。
三菱UFJ信託銀行の鶴岡秀規室長は「将来の売り上げを予測して評価する取り組みは、地域金融機関が取り組んでいる事業性評価につながる」と話す。
Yoiiが提供するRBFは、2021年のサービス開始から既に206件の取引実績があり、返済不能となるデフォルト率は0.5%水準に抑えられている。利用企業からは「採用費や広告費などの成長投資に活用できた」「次の資金調達までのつなぎ資金として活用できた」といった声が寄せられている。特にサブスクリプション型のソフトウェア企業(SaaS)や、消費者向け販売(D2C)企業との相性が良いとされる。
これまでYoiiが自己資金でサービスを提供していたが、今回、三菱UFJ信託をはじめ地域金融機関からの出資を受けてファンドを組成することで、サービスの拡大を図る。
手数料は3〜15%で、期間は平均7カ月程度。実行から返済完了までの期間が短いため、ファンドの資金を年間で複数回転させることが可能だ。この回転率の高さを生かし、2年という比較的短期のファンド運用期間を設定している。
急成長企業の「バックオフィスSaaS活用」最適解 創業半年で16億円調達したベンチャーの裏側
「今月どうしよう」資金繰りに悩む企業を救うか? “60日支払い猶予”で成長中サービスの正体
なぜ、ERPを導入したのに「紙や手作業が残る」のか──経理現場に必要なモノ
システム導入で起きる“深刻な部門対立”どう解決? あの部署の効率化で、こっちの部署から不満噴出Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング