高級レストランでの決済時、「カードを出したときの店員さんの反応が全然違うんです」。テーブルに置かれた金属製カードは光の加減で微かな輝きを放ち、周囲の目を引きつける。こうしたシーンを想像して、ユーザーはメタルカードに手を伸ばす。
Mastercardの最上位カード「ラグジュアリーカード」が2019年に国内で金属製カードの提供を始めて以来、アメリカン・エキスプレスなど、大手カード会社が相次いで参入してきた。高級カードの新たな象徴として、金属製カードの存在感は年々高まっている。
「約5年前から、お客さまからの金属製カードへのご要望が徐々に増えていました」。JCBイシュイング本部販売促進部プレミアムサービスグループ副主担の司茂真理子氏はそう明かす。
同社が毎年実施している顧客アンケートでも、「あったらうれしいサービス」の上位に金属製カードが顔を出すようになった。背景には、クレジットカード市場の大きな変化がある。
「お得重視のカードと、ステータスを重視するカードへの二極化が進んでいます」と同主担の渡邉智子氏は説明する。かつては憧れだったゴールドカードも、一定の利用額で年会費が無料になる商品が増加。年会費数千円程度の商品も珍しくなくなり、以前のようなステータス性は薄れている。
その代わりに存在感を増しているのがプラチナカードだが、一見しただけでは通常のカードと区別がつきにくい。その点、メタルカードは重さ、質感、テーブルに置いたときの「チリン」という音色まで、従来のカードとは明確な違いがある。プレミアムカードの新たなシンボルとして、金属製カードが注目を集める理由がここにある。
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