日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
はなまるうどんを運営する「はなまる」は2025年1月1日、発祥の地でもある香川県高松市に本社を移転した。
創業25年を経て原点回帰ということで、この地から讃岐うどんの魅力や多様性を発信するためだという。その第一弾として、香川県とともに「おいでまい!さぬきプロジェクト」も始動した。
このニュースを聞いた讃岐うどんファンの中には「王者・丸亀製麺を引きずり下ろすために香川マウントを取ってきたな」と感じた人も多いだろう。
本連載では「丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由」で細かく説明したが、今や日本を代表する「讃岐うどんチェーン」にまで成長した「丸亀製麺」は、実は香川県丸亀市と何の縁もゆかりもない。
兵庫県で居酒屋を経営していたトリドール(現・トリドールホールディングス)が、県内でうどん業態に参入する際に付けた商標に過ぎない。そういう後ろめたさがあるからか、全国で約850店舗も展開している丸亀製麺は、香川県内では1店舗(高松レインボー通り店)しかない。
「え? 昨日も丸亀製麺に行ってきたけれど店内には讃岐富士(丸亀市にある飯野山)の写真とか飾ってあったし、バリバリ讃岐うどんイメージ押し出しているでしょ?」と思う人もいらっしゃるかもしれないが、そのイメージこそが丸亀製麺をここまで成長させたといっても過言ではない。香川にまったく無縁であるにもかかわらず、巧みなブランド戦略で「香川に縁のある讃岐うどん店」というイメージを世間に定着させることに成功したのだ。
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
はなまるうどん、本社を東京→香川に 讃岐うどんへの「原点回帰」を掲げる理由
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