では、その「本場の讃岐の活気」をルーツに持つはなまるうどんの店内はどうか。こちらもよく行く人は分かると思うが、丸亀製麺とはまったく異なる。
キッチンは特に開放的ではないカウンター式で、明るいベージュ色のイスとテーブルが並んでいる。いかにもフードコート内にあるファストフード店という雰囲気で、オレンジのロゴも相まってグループが同じ「吉野家」のような印象を受ける。また、こちらのうどんは「手打ち職人の製法を忠実に再現」した工場から送られてきている。
なぜこのようなスタイルになったのか。答えは、はなまるの「経営理念」を見れば理解できる。
「将来にわたってお客さまから支持されるためには、商品だけでなく、われわれそのものが『本当』『本物』『正直』でなければならない。表面だけを着飾ったようなモノはいらない」
自分たちは「本物」なので、無理に店内に「讃岐うどんの製麺所」の世界観を再現する必要はない。そんな表面を着飾るようなことに力を入れるより、味や価格にこだわったほうがいい。それぞれの店で打ちたての麺を提供するよりも、工場で品質を安定させたほうがいい、という考え方だ。
断っておくが、どっちのスタイルが正しくて、どっちが間違いだなどといいたいわけではない。飲食店経営というのは、これさえやっておけば「正解」などといった簡単なものではないからだ。
ただ、事実として、この2つのうどんチェーンを比較すると、「本当に香川発祥の店のほうがファストフードっぽくて、香川発祥じゃない店のほうが老舗の讃岐うどん店っぽい」というブランドイメージの「逆転」が起こっていることを指摘したいだけだ。
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