なぜ「お弁当向け冷凍食品」からトレイが消えた? 答えは、担当者の“くるくる巻き”にあった味の素冷凍食品の「おべんとPON」(3/4 ページ)

» 2025年01月20日 09時33分 公開
[熊谷ショウコITmedia]

ある社員が実践していたアイデア

 開発に最も時間をかけたのは、おべんとPONシリーズの特徴でもあるスティック形状にすることだ。「環境配慮に振り切ったパッケージにしても、消費者にとって快適かどうかは分からない。この形にたどり着くまでに時間がかかった」

 ブレークスルーとなったのは、開発者の1人が自宅で実践していたある保管方法だった。担当者はお弁当向け冷凍食品を食料保存袋の中に入れ、くるくる巻いてスティック形状にして冷凍庫に入れていたのだという。それを聞いた開発メンバーは「冷凍庫のスキマにも入るし、自然解凍品であれば片手でもお弁当に入れられるし、とても良い」となり、採用に至った。

化粧箱に入ったおべんとPONシリーズ(出典:味の素冷凍食品、以下同)

 トレイを使用しないスリムな形状にしたことで、「輸送の効率化」といったメリットも生まれた。おべんとPONシリーズはトレイ使用品と比べて段ボールが小さく、1パレット(荷物を載せるときに使う荷役台のこと)当たりの積載率はトレイ品と比べて200%ほど高い。輸送効率の向上や倉庫スペースの効率的な利用にもつながり、環境負荷の低減にもつながるという。

おべんとPONはパレット当たりの積載効率が高いので、輸送効率がいい

 発売時のラインアップについては、既存のお弁当向け冷凍食品もトレイレスにすることを検討したが、おべんとPONシリーズとして商品を際立たせていきたいといった狙いもあり、現在の形となった。

初期リリース時にはお弁当の人気おかずメニュー5種類(とんかつ、からあげ、メンチカツ、つくね、とり天)を展開

 新たに加わる「肉だんご」は、細挽きと粗挽きの2種類の鶏ひき肉を使用し、ご飯が進む甘辛しょうゆ味に仕上げている。

「おべんとPON」肉だんご

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