では早速、現在工場でどのような業務をアウトソースしているのかについて点検を行ってみよう。今まで当たり前のようにアウトソースしている業務が本当は社内で行った方が効率的であったり、やたら高い価格で契約していたりする場合がある。本来工場としてどのような業務を社内で実施し、アウトソースする業務はどのような業務なのかについて明確なポリシーが必要だろう。
ということで、ここでアウトソースのポイントについて少し考えてみよう。
工場の本業はものづくりである。そこでこの本業からかけ離れた業務についてアウトソースするという考え方がある。いわゆるノンコア業務である。一方で工場にとってものづくりはコア業務と考えられる。まずこのコア業務、ノンコア業務の論議を工場内で行い明確な定義づけをすることが望ましい。
工場でのコア、ノンコア論議で物流業務がノンコアだと定義されたとしよう。ノンコア業務のなかでも、よりコストメリットがある業務から優先的に実施するのは当然である。物流業務の内「輸送業務」は自社で行うよりも専業事業者に任せた方がコスト的にメリットがあることが多い。なぜなら輸送専業者は独自のネットワークを持っているため積み合わせによるコストダウンが可能になるからである。
工場の場合、ものづくりには長けていても物流業務に時間をかけてスキルを向上させることは資金的にも時間的にも厳しいことが考えられる。そこでこれらの類の仕事はスキルと時間を外部から購入するという発想でアウトソースしてみたらどうだろうか。例えば輸出梱包などは品質管理の点、輸送効率の点などで専業事業者のノウハウを生かし、優先的にアウトソースする方が望ましいだろう。
これらの観点で一度点検を実施してみよう。点検を通してアウトソースを継続するものと社内に戻すものとの層別ができる。次は継続する業務についての妥当性を判定していこう。
すでにアウトソースされている業務についてその妥当性を検証してみよう。一番のポイントはコストメリットである。かつて人員不足の際にやむを得ずアウトソースし、それがそのまま継続している場合は要注意である。このような仕事をかつては自社でできていたのであるから、特別な専門性を要する業務ではないケースだと考えられる。自社で実施した場合と比較し明らかにコストメリットがあるかどうかを検証しよう。
最近では海外に工場を建設し、現地生産を行うことが当たり前になってきた。その影響で国内生産が落ちてきており、人余りの工場もあるかと思われる。この場合もアウトソース見直しの一つの要因となる。社内ですでに保有しており新たな資源を要しない場合は、その業務を社内に取り込む決断も必要だ。
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