フルカイテンでは、年商30億円以上の事業者をターゲットにしており、現在は約200ブランドが導入している。主軸はアパレル業界だ。ARPA(1アカウント当たりの平均売り上げ)は月額50万円以上。2022〜24年の3年間でFULL KAITENが扱った顧客の流通総額は2兆円弱に及ぶ。
これまで、販路はどのように開拓したのだろうか。田中氏は次のように話す。
「雑誌への広告掲載から始め、メディアに載っている小売業の社長インタビューをチェックし、営業部隊がキーマンにアプローチするなどの地道な活動も行っています。現在ではオンライン・オフライン問わずセミナーも毎月開催しています」
その他、ターゲットとする企業の決算資料を参考にしながら、在庫管理における改善の余地をアピールする営業手法も採っている。
主軸の売価変更・店間移動に加え、2024年末には機能を3つ追加した。従来は小売業者の下流工程を得意としてきたが「下流は各工程のムダが重なった部分であり、もっと上流から課題を解決する必要を感じている」(田中氏)とし、上流から下流まで一気通貫に在庫管理を効率化できるよう、改善を進めている。
例えば、単価を押し上げやすい商品やセット販売の組み合わせを提案する機能を追加した。あるスポーツ店では、店員の発想にないセット販売をシステムが提案し、売り上げ面で良い効果があったという。各店舗のデータを基に、倉庫から出荷する際の望ましい分量を提示する機能なども追加した。機能の追加は今後も注力する方針だ。企画や生産、販売までの流れをとらえた場合、『売価変更』や『店間移動』は小売業の下流で効率化を図るサービスといえる。上流のムダを解決する機能について、年内のリリースを目指す。
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