「イートイン強化」をやめたファミマ、新たに始める「コンテナ外付け」で店舗はどう変わるのか(3/3 ページ)

» 2025年02月07日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]
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FC加盟店が語る「イートインのデメリット」

 なお、イートインには店舗側のデメリットもある。ファミマを数店舗展開するフランチャイジー企業の関係者によると、イートインはホットスナックや弁当類の売上増につながるものの「清掃に手間を取られ、人件費増につながる」「イートイン客が店内でゴミを捨てるため、ゴミ処理コストが増える」「長居するマナー違反客がいる」といった課題があるという。

 常に清潔に保っていないと、イメージの低下で客が離れてしまうこともあるため、管理は特にネックとなっているようだ。通常の飲食店では、客が入れ替わるたびに店員がテーブルを清掃するが、人手不足に悩むコンビニにとって、こうした業務をさらに店員に課すのは難しい。

 バックスペースを縮小してイートイン化した店舗もあり、逆に商品の売上減となった店舗もあると加盟店関係者は話している。ファミマはこのようなメリットとデメリットを比較して、廃止の線引きを決めたと思われる。

日販、客数にはまだまだ「王者セブン」と大きな差が

 各社のデータによると、1店舗当たりの日販はセブンの69万円に対し、ファミマとローソンは60万円に届いておらず、15万円前後の差を付けられている。2社がセブンを追う構図は昔から変わっていない。

 日販の差は、主に客数の差に起因する。1店舗・1日当たりの客数はセブンが900人超に対し、ローソンは700〜750人程度。ファミマは数値を公表していないが、客単価がそう変わらないとすると、ローソンと同程度と考えられる。

1万店舗規模に設置し、1週間に6000万人超との接点がある「FamilyMartVision」(同前)

 「セブン1強」の要因はさまざまだが、好立地を確保している点や、プライベートブランド商品を拡充し「目的買い」に対応できている点などが挙げられる。対してファミマも、デジタルサイネージを設置して客単価増を狙うなど、さまざまな施策に取り組んできた。コンテナ外付けやイートイン廃止も同じ目的といえる。ファミマがセブンを超える日は、果たして来るのか。その前にセブン&アイ・ホールディングスが伊藤忠商事の傘下に入る未来もあり得る中、目が離せない。

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


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