小売のDXは「選択と集中」がカギ コンビニ大手の取り組みからヒントを探る(3/3 ページ)

» 2025年02月28日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]
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ビジョンと結び付いた3社の取り組み

 1月、セブン&アイ・ホールディングスは「asupresso(アスプレッソ)」というメディアを開始しました。グループ内の取り組みをステークホルダーへ公開する取り組みです。また、セブン-イレブン・ジャパンでは、オープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」を運営するeiicon(東京都文京区)とともに「SEVEN-ELEVEN JAPAN INNOVATION PROGRAM 2024」を開催しています。

 「地域経済」「観光」「健康」をテーマに全国から共創アイデアを募集する取り組みで、5社のアイデアを採択して両社とビジネスの実現を目指すとリリースしています。セブン-イレブン・ジャパンの企業理念である「明日の笑顔を 共に創る」を具体化した取り組みといえるでしょう。

 ローソンでは、2024年9月にKDDI、三菱商事とともに「未来のコンビニ」への変革に向けて先進技術を活用した店舗を2025年春にオープンすると発表しました。効率性を高める自動陳列マシンや店内調理ロボット、アバタークルーによる接客や医薬品のリモート販売などを行う「よろず相談所」など、リアルとテクノロジーの強みを融合させた店舗です。この取り組みの先には、ローソンが構想する「ハッピーローソン・タウン」の実現があり、セブン同様に戦略や構想と密接なものとなっています。

出所:KDDI公式Webサイト

 ファミリーマートは「カスタマーリンクプラットフォーム」と題し、顧客とのつながりと体験価値の向上を各取り組みと結び付けています。店舗・商品など6つのテーマを掲げカスタマーリンクプラットフォームを実現していくことを示しています。テーマにはSDGsも含んでおり、社会貢献という点でも意義のある取り組みでしょう。

 ウォルマートがIT投資を飛躍的に拡大し、店舗などの設備投資を縮小したことは日本の小売り業にも大きな影響を与えました。その後、日本でも各社がIT投資を拡大してきた経緯がありますが、果たしてそれは顧客のためなのか、自社の理念や社会課題の解決につながるのかは再度よく考えなくてはなりません。先進的なITに、あれもこれもと取り組むのではなく、顧客が体験・購入する商品やサービスに焦点を当て、DXにおいても「選択と集中」をすることが今求められています。

 その上で、コンビニ3社の取り組みは過去の成功と失敗も含め他の業界にとっても参考になる点が多く、今回の記事でまとめました。最後までお読みいただきありがとうございました。

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