「完全メシ」Vs. 「BASE FOOD」 覇権を握るのは? コロナ禍で脚光浴びる「カロパ食品」の動向長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/4 ページ)

» 2025年02月28日 14時30分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。


 日清食品の「完全メシ」シリーズが好調だ。2022年5月に発売し、この1月末までの累計出荷数は3800万食超。2024年度の売上目標は70億円で、2025年度には100億円規模のブランドにすることを目標としている。

好調な「完全メシ」シリーズ

 完全メシは、「日本人の食事摂取基準」で設定している33種類の栄養素を摂取できるだけでなく、味にもこだわっており「栄養とおいしさの完全なバランスを追求した」ことからその名が付いた。

 日清食品ホールディングス広報部は次のように話す。

 「飽食 (オーバーカロリー) による肥満が世界的な課題になっている。一方で、粗食・小食を原因とした低栄養によって引き起こされるシニアのフレイル(虚弱)や、カロリーは足りているものの必要な特定の栄養素が不足する『隠れ栄養失調』の増加も深刻な問題となっている。こうした現代ならではの食の課題を解決したいと開発に至った」

 完全メシは2022年5月、カップ麺など5種類を発売。その後、幅広い食シーンに対応するため、電子レンジ調理できる「冷凍完全メシ」5品(かつ丼、牛丼、欧風ビーフカレー、ボロネーゼ、汁なし担々麺) を開発。同年9月にオンラインストア限定で発売した。また、選ぶ楽しさを追求して冷凍完全メシを「冷凍完全メシDELI」としてリニューアル。商品ごとに異なる、模様と色合いを組み合わせたパッケージデザインに一新した。

さまざまな完全メシ

 現在はパッケージフード(即席麺、カップライス、冷凍食品など)を約50品目展開しているほか、小売業と協業したデリカ(総菜・弁当など)や社員食堂のメニューなども含めると110品目以上を展開している。外食・中食などへとタッチポイントを拡大し、あらゆるシーンで食事の栄養バランスが最適になるような世界の実現を目指しているのだ。

 完全メシでは「カロパ」を重視している。耳慣れない言葉だが「カロリーパフォーマンス」の略で、普段の食事と変わらないおいしさとともに、摂取カロリー当たりの栄養バランスが整っていることを表現している。

 食事では、複数の栄養素をバランス良くとることが重要だ。一方、普段の食生活でバランスを整えようとすると、手間も時間もお金もかかる。日清食品ホールディングス広報部では「完全メシなら、おいしくて栄養バランスが整った食事を、簡単な調理で手軽に食べることができる」と、カロパの良さをアピールしている。確かに「湯を注いで数分待つだけ」「電子レンジでチンするだけ」「蓋を開けて飲むだけ」で、栄養バランスが整った食事をとれるのであれば、「カロパ」の高い商品といえる。

カレーメシの内部
カレーメシの内部
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