では、ベースフードの「完全栄養食 BASE FOOD」はどうか。同商品は「1食で1日に必要な栄養素の3分の1がバランス良くとれる世界初の完全栄養の主食」をうたっている。完全栄養食といいながら、残りの3分の2はとれない不完全性を明記しているので問題ない、と消費者庁は回答した。
「完全食」「完全栄養食」の定義となると哲学的な問題になるが、あくまで「健康維持に必要な栄養成分を全て不足なく含んでいる」かのような誤認を呼ぶ表示を回避することが、重要なのである。
ベースフードは2016年4月に設立したフードテック企業だ。日本における完全栄養食のパイオニアとして、食事を楽しみつつ健康にもなれる社会の実現を目指し、2022年には東京証券取引所グロース市場に上場した。
2024年2月期決算では、売上高148億7400万円(前年同期比50.9%増)、経常損失が8億9100万円となっている。上場以降経常・営業・当期純利益がプラスになったことはないが、売り上げは2年で3倍近くに急成長。数年のうちには黒字に転換することが、見込まれていた。
思わせぶりな書き方をしたのは、2025年2月期第3四半期で売上高が115億7900万円(前年同期比0.1%増)と、ほぼ前年から横ばいで、成長に急ブレーキがかかっているからだ。
とはいえ経常損失は2億5400万円で、前年同期の5億1800万円よりも大幅に減った。経営の効率性が高まっているのは良いことだが、2023年10月に「BASE BREAD シナモン」の一部製造ロットでカビ発生が多発し、謝罪および交換・返金を実施したことで、影響が想像以上に出ている可能性がある。完全栄養食とはうたっていないものの、競合と見られる完全メシの台頭にも押されている。
こうした背景もあってか、BASE FOODのパッケージを2024年7月に一新した。従来は完全栄養という機能を訴求するべく、都会的かつ先進的なブランドイメージを表現するため、あえて商品の中身を見せないデザインを主に採用してきた。しかし「中身が分からないので手に取りにくい」などという消費者の感想が多く、商品をデザインとして見せるパッケージに転換した。
カビ騒動で「株価30%超下落」から半年……ベースフードはなぜ今“急成長”しているのか
「完全栄養食」BASE BREADは、第二のカロリーメイトになれるのか 成長鈍化の打開策を聞くCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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