JOYはZ世代を中心とする「ワイン初心者」に向けて展開しているワイン。内容量は750ミリリットルで、赤ワイン「ジューシー レッド」、白ワイン「ブライト ホワイト」、ロゼワイン「フルーティ ロゼ」の3種類を用意する。
もともとは英国のマーケターが、Z世代向けにチリのワイナリー「コンチャ・イ・トロ」と共同で設計し、ヒットした商品だ。日本での展開は英国に続き2カ国目で、韓国での発売も予定している。
マーケティング担当を務めるメルシャンの溝渕萌香氏によれば、英国は世界5位のワイン消費国だが、日本と同様に「若者のワイン離れが課題」だという。
JOYはこうした若い世代にリーチすべく、「フルーティーで程よい甘さ」に仕上げたワイン。「渋い」「苦い」「重たい」といった、ワインのネガティブなイメージの払拭を図っている。若い世代ほどアルコール度数の高いお酒を敬遠する傾向があることから、度数は「ワインとしては低め」で、「ジューシー レッド」では10.5%に抑えている。
パッケージも「分かりやすさ」を優先したポップなデザインに。伝統的なワインとは異なり「産地」や「品種」をあえて訴求していない点が特徴だ。
溝渕氏自身も、2020年に新卒入社したZ世代。欧州事務所に駐在する中で、英国でヒットしていたJOYに注目し、日本のマーケットに落とし込むべく市場分析などに取り組んだ。「ワインの歴史や文化、作り手もリスペクトされるべきだと感じる一方で、格付けや値段に関係なく『もっと自由に飲めたら』という思いがあった。同じような人にJOYを届けられれば」(溝渕氏)
日本での本格展開を前に、メルシャンは2024年10月に国内の一部ディスカウントストアでJOYのテスト販売を実施(「ジューシー レッド」「ブライト ホワイト」のみ)。従来の輸入ワインと比較して、20〜30代の反応に手応えを得られたという。
全国発売するに当たって、店頭の特設コーナーやSNSでの情報発信を強化する。また、合わせて炭酸水やフルーツ、ミントなどを用いた「カクテルレシピ」を考案。ワインに対し「難しそう」というイメージを持つ層に向けて、カジュアルな飲み方を提案する考えだ。
販売数量の目標は3万ケースで、すでに業務用の提案も開始している。Z世代社員の目線を取り入れたメルシャンの施策は、ワイン市場を盛り上げられるか。
【※編集履歴 2025年3月3日午前8時20分:記事初出時、販売数量の目標を「3000ケース」としておりましたが、正しくは「3万ケース」です。お詫びして訂正いたします】
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