イトーヨーカ堂が北海道や東北から撤退し、関東でも数多く閉店する中、ロピアがその跡地に出店するなど、スーパーの新旧交代的な話題が増えている。西友も、九州や北海道から撤退した後、株主であるファンドが売却に動いていて、イオンやドン・キホーテの運営会社であるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)、大手ディスカウントストアのトライアルが手を挙げていると報じられている。
PPIHは数年前に総合スーパー大手のユニーを傘下に入れた。そのユニーが本拠地としている東海地方で、着実に存在感を増している企業といえば、バローHD(以下、バロー)だろう。地方発祥の小売チェーンが全国展開する中で、バローが成長を続ける理由や、今後の店舗展開戦略を分析する。
バローは、岐阜県恵那市で発祥した食品スーパーを中心に、ドラッグストアやホームセンターなどを、中部地方を地盤として広域展開している複合的小売企業だ。今や、グループの売り上げは8000億円を超え(そのうちスーパーの売り上げは4500億円超)、国内有数の小売チェーンとなっている(図表1、2)。
特に東海地区における成長は目覚ましく、2019年以降の域内における売り上げの増加額は、他社を圧倒的に上回っている(図表3)。最大のマーケットである愛知県においても、ヤマナカやアオキスーパーといった名古屋の老舗スーパーを抜き、全国大手のユニーにも肉薄する勢いだ。
バローの特徴は、店舗の標準化や物流の効率化、プライベートブランド(PB)商品開発への積極的な取り組みなどによりコスト低減を実現し、損益分岐点の低い店舗運営をすることだった。筆者のイメージではあるが、そのままイオンにも当てはまるような、インフラの力による無機質な強さがウリだった。
そんなバローは、あることをきっかけに大きく方針転換する。生鮮特化型スーパーのタチヤを、M&Aで傘下に入れたことだった。
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