長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。
セブン&アイ・ホールディングスは、井阪隆一社長が退任し、5月27日に予定している定時株主総会の承認によってスティーブン・ヘイズ・デイカス社外取締役が後任に就く人事を発表した。デイカス氏は米国カリフォルニア州出身で、同社初の外国人社長となる。
セブン&アイが買収提案を受けているのは、日本企業ではなくカナダのコンビニ大手であるアリマンタシォン・クシュタール社だ。クシュタール社はファミリーマートが買収して消滅した「サークルK」などを運営しており、米国のコンビニ業界では「セブン-イレブン」に次いで2位の企業である。
クシュタール社は日本のコンビニにあまり関心がなく、米国のコンビニ事業でシェア拡大を狙っているといわれる。そこでセブン&アイは、日本のみならず米国の小売事情にも詳しい、国際感覚に長けたプロ経営者をトップに据えて、経営危機を乗り切ろうとしているわけだ。
社長に就くデイカス氏は、ファーストリテイリングや西友など名だたる企業で要職を歴任し、2022年にセブン&アイの社外取締役に就任。2024年4月には筆頭独立社外取締役となっていた。
母親は日本人で、日本語も堪能である。幼少期に実家がセブンのフランチャイズ(FC)店を経営しており、当人も店番をしていたという。記者会見からは「知日家で、FCオーナーの気持ちがわかるセブン愛ある思慮深い人物」かつ「日米ビジネスのエキスパート」といった印象を抱いた。
もちろん、デイカス氏はクシュタール社からの買収提案にくみせず、独自路線を貫く方針だ。
ファミマとセブンが「伊藤忠化」する――? 経営陣による「9兆円」MBO、日本史上最大の企業買収劇のゆくえ
やっぱり、セブン&アイの買収提案は悪い話なのか いやいやそうでもない、これだけの理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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