社長交代のセブン&アイ、これからどうなる? 9年間の「井阪時代」を振り返る長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/4 ページ)

» 2025年03月19日 13時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

セブン&アイの株価は低すぎる

 井阪氏の退任は、伊藤家のつたない策謀やリーダーシップ不足の巻き添えとなったような形だ。しかし、記者会見では「過去の総合小売業を目指す方向からの転換にめどが立った」「国内外のコンビニ事業にフォーカスし、食を中心とした世界トップクラスのリテールグループを目指す」「そのために、今までと異なる施策が必要なフェーズに入った」と、社長交代の意義について力説するなど、案外サバサバしていたように見受けられた。

セブン&アイ ホールディングスの基本戦略(出所:セブン&アイ ホールディングス公式Webサイト)

 セブン&アイの売り上げは、2024年2月期連結決算で11兆5000億円弱。前期比2.9%減だ。とはいえ国内の小売ではトップであり、NRF(全米小売業協会)によれば、2024年に世界の小売業で8位に入っている。

 ところが時価総額は、年商の半分くらいしかない。同じ世界に展開する小売り企業でも、ファーストリテイリングは、年商3兆1038億円に対して時価総額が14兆円超と、4倍以上もある。要するにセブン&アイの株価は安すぎる。

 ちなみに、クシュタール社は2024年4月期の売上高が693億ドル、10兆円以上である。時価総額は6兆円以上で、セブン&アイより売り上げが少ないのに、時価総額では上回っている。2021年の東京五輪では、日本のコンビニが世界から評価された。弁当やおにぎりなどのレベルは高い。円安の影響もあるが、世界的にブームである和食の発信地の一つとして、セブン&アイの株価は実力に釣り合っていない。異常な低さ、とまでいえる。

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