これらの初動対応において、対照的な動きを示したのが丸亀製麺だ。2023年にSNSで「丸亀シェイクうどん」にカエルが混入した動画が投稿されると、その翌日に同社はプレスリリースにて野菜加工工場で混入した旨と、生野菜を使用した一部商品の販売休止を発表した。ネズミとの忌避感の違いも影響しているだろうが、今回のすき家騒動ほど話題にはならなかった。
これらの事例を踏まえると、混入防止に努めるのはもちろん、発生後の対応も重要といえる。冒頭でも触れたが、消費者がSNSという強力な“武器”を持っている現在、企業が不祥事を隠ぺいすることは不可能である。食品産業に対する消費者の目は特にシビアであり、対応を誤ればそれ自体も火に油を注ぐきっかけになり得る。
混入に関するクレームがあれば、投稿の前に自ら公表する重要性は日に日に高まっている。仮にクレームがないまま画像がSNSで拡散した場合も、速やかに公表しなければならない。原因が断定できない場合でも、考えられる混入の経緯や対応策を示せば炎上は抑えられるはずだ。
今回、すき家は全店の臨時休業に踏み切ったものの、たった5日間で対策を進められるかは疑問だ。筆者は、ある種の「禊」を消費者にアピールするため、取りあえず休業を決めたと考えている。不祥事後の対応が後手になるほど禊の期間は長くなり、損失が膨らむことをあらためて企業は認識する必要がある。
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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