佐久間俊一(さくま しゅんいち)
レノン株式会社 代表取締役 CEO
グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティング、ベイン・アンド・カンパニーなどで小売業・消費財メーカーを担当。2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。
アップルやマイクロソフト、アマゾンなどと並び時価総額世界1位を争うエヌビディアのジェンスン・フアンCEOは、過去にスピーチでこう述べています。
「AIに仕事を奪われると心配する人もいるが、AIに精通した人に仕事を奪われるのではないか」
これは広告業界やコンサルティング業界で以前から起きていることと類似しています。従来の広告会社は最適な広告を提案するために自社でリサーチをし、それを基にクリエイティブや媒体計画を提案。展開後は結果分析を行い改善するサイクルを繰り返してきました。
しかし昨今は、広告会社がクライアントの業務を効率化するために、分析用のダッシュボード導入を支援したり、媒体の運用をクライアント側で出来るようにサポートもしています。
コンサル会社も同様に、自社が行ってきたことをクライアントが自分で行えるようにするためのコンサルティングが多くなっています。業務分析を行い、報告書を作成し改善案を共に模索するのではなく、常に業務の現状が把握できるシステムを導入し、そもそもコンサル会社に頼む必要がない自走できる仕組み作りをコンサルティングしている構図です。
冒頭のエヌビディアCEOの言葉にも同じような意味が含まれているのではないでしょうか。
単純にAIが業務を代替・代行することもありますが、その範囲は想像より大きいものではありません。実際に影響力が甚大なのは「AIをどう利用するか」を構築できる人、またはAIがアウトプットした内容を踏まえて自社にとって最適な形に加工できる人に価値が集まっていくことを示唆しているように感じます。つまり、AIを使いこなす側に回れば、次のステージが待っているというポジティブなメッセージにも受け取れます。
小売業におけるAI活用事例を見ながら、その実情を確認していきましょう。
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